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内容説明
壊れゆく日本社会を生き延びる若者たちの変化。高い生活満足度と生のミニマリズム化、財界・政府支配層が期待する「グローバル競争を勝ち抜く優秀な人材」に反する現実主義、求められるのは「さりげなく」笑ってみせられる力…。若者をかつてない“安定志向”に向かわせる「生きづらさ」の実相。ラディカルな保守志向が現実政治に対する批判へと転回する契機はどこにあるのか?
目次
序章 社会の壊れ方・人間の壊され方
第1章 いまを生きる若者たち―右肩下がりの社会の中で
第2章 社会の変容と若者たち
第3章 日本的青年期の崩壊―状況は根本的に変化した
第4章 若者たちは右傾化したか―若者と政治
終章 私にとっての戦後、そして若者たちへのメッセージ
著者等紹介
中西新太郎[ナカニシシンタロウ]
1948年生まれ。鹿児島大学教育学部勤務を経て、1990年~2014年、横浜市立大学勤務。現在、関東学院大学教授、横浜市立大学名誉教授。現代日本社会論・文化社会学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう。
34
若者たちが孤立化し、生きづらさを抱えている中で、社会は彼らを見捨てていることは事実だ。そうしたなかで、自らを守る手段として保守化しているのかもしれない。しかし、声をあげ民主主義を作り出している現実もある。若者を分析することは、現代社会をリアルに見ることだと思った。2020/01/22
ichigomonogatari
5
新自由主義、構造改革がもたらした格差社会で貧困は拡大、経済成長はもはや望めない。低賃金で半数近くが非正規雇用の若者たちは未来への希望を持てないなら、ぎりぎりだとしてもせめて現状維持を望む、つまり保守化すると著者はいう。今若者たちが置かれている厳しい状況や、変化してきた価値観を私たち多くの中高年は気がついていない。なぜ恋愛や結婚しないのか、アニメが好きなのかなどの疑問が少し解けた気がする。若者文化について詳しく書かれているのだが、実際の若者の感想が知りたいです。2020/12/24
ゴリラ爺
0
マーク・フィッシャーが唱えた資本主義リアリズムの日本での現れを考察した本として位置付けられると思う。「普通がいい」というよりは改良や第三の道を信じられないから次善策として現状を支持=保守という点で動機の源にあるネガティヴな現状認識を共有している。10代の本音を代弁するものとして桜庭の『砂糖菓子』等ラノベが引かれるが、この年頃の若者の中には現実の環境とは無関係に病んだフィクションに惹かれる一群がいるというだけで、主張を支える材料として弱い気がした。全体に客観性に欠けていてエッセイ風だし繰り返しも多い。2022/09/04