内容説明
アレックス・シアラーの実体験を基にした、書き下ろし小説。死にゆく兄を見守る弟の心を描いた美しい物語。
著者等紹介
シアラー,アレックス[シアラー,アレックス] [Shearer,Alex]
英国スコットランド北部のウィックに生まれ、現在はサマセット州に住んでいる。テレビやラジオ、映画、舞台のシナリオライターとして活躍したあと、数多くの児童書を執筆、ガーディアン賞にノミネートされた『スノードーム』(求龍堂)などを生みだした
金原瑞人[カネハラミズヒト]
法政大学教授・翻訳家。児童書やヤングアダルト向けの作品のほか、一般書、ノンフィクションなど、翻訳書は400点以上(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
61
ジャンルの分類が難しい作品だ。児童文学ではなく、ヤングアダルトでもない。強いてあげるなら、作者自身の経験に基づいて書かれた私小説といったところ。主人公“おれ”の兄ルイスに脳腫瘍が見つかり余命が数ヶ月と宣告される。ルイスの身寄りは、弟の“おれ”しかなく、ルイスの面倒を見るために、“おれ”は、イギリスからオーストラリアへと飛ぶ。そしてルイスとの二人三脚の生活が始まるが…… 。作品の内容がヘビーなので、深刻になりがちな物語を、主人公“おれ”の視点で淡々と語ることで、何処か諦観した雰囲気が漂う作風になっている。2015/05/10
miyu
27
久々シアラーを読む。大人向け?と思いつつ読み進めたが平仮名が多い文章や人生訓のような言葉に読書好きな子供にもよさそうだなと思った。だけどやはり少しばかり疲れた私たち大人の気持ちによりしみそう。シアラーと思しき主人公と脳腫瘍を患った兄ルイスの最期の日々を隣人やかつてルイスと関わった人を交えて淡々と31章並べただけの内容だが、そこに必ず作者の境地のような言葉が含まれていて心奪われた。実際に彼と彼の兄上との物語らしいのだが、後書きで「事実と虚構を隔てる境界線はしばしばとても曖昧だ」とも語る。実にシアラーらしい。2018/09/23
ひめか*
23
期待はずれ…いつものシアラーのページをめくる手が止まらない感じがなく、明るく面白いのとは対照的に、病気の兄のエピソードをまとめたシリアスな内容になっている。兄とおれの過去の話や、兄が死ぬまでの二人の会話。生きること死ぬことをテーマに、兄との日常が日記のように淡々と綴られていく。会話も多くて、だんだん読むのに飽きてきてしまった…シアラーのあとがき「かけがえのないものを失ったとき、はじめてそのありがたみがわかる。人を愛したら、伝えられるうちに伝えておけ」「兄弟や姉妹は他にはない形で人生を共有する」心に残った。2017/11/09
黒崎ディートリッヒ
6
学校を卒業して就職、結婚したおれと、二ートの兄ルイス。兄弟だけど何もかもが違ったふたり。だがルイスが重い脳腫瘍にかかっていることをおれが知った時、兄弟の絆は再び結ばれる。 作者アレックス・シアラー先生の私小説。今は亡き脳腫瘍で廃人となった兄を見守る弟の姿を、私小説だけあって、架空のキャラクターをベースにシアラー先生自身の経験をリアルに書いた物語だった。 でもストーリーを読んだ時は、一瞬かなり驚きましたよ。本作がシアラー先生の実経験、ということでシアラー先生がまさかご病気なんじゃないのかって。2014/11/14
to_chan
5
アレックス・シアラーのYAじゃない一般向け小説。脳腫瘍で死ぬ兄とその周りの人々をぐるぐると。繰り返される「もうおれたちはだめなんだ」 色々なことが頭に浮かぶ良い物語だがYA作品の方が好きだ。2019/09/10
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