内容説明
社会主義崩壊から間もないモンゴルのウランバートルで、日本人商社マン・加藤が命を落とした。その12年後、コンサル会社に勤める万里子は、モンゴル担当を命じられ、旧友の死の真相に近づいてゆく…。地下資源をめぐる利権の駆け引きとは。国際派経済小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まつうら
56
服部真澄「天の方舟」、深田祐介「神鷲商人」とかでこれまでもODAに触れてきたが、最前線を経験した著者だけに、この作品にはODAの歴史と変遷が描かれている。ODAの原資は税金だから、国益に資する開発援助であるべき。インドネシアやベトナムのインフラ開発はそういう目的でやってきたし、さらなる民間投資を呼び込むという成果もあった。しかしこのやり方が英米から目の仇にされ、いつのまにやら国益度外視のばら撒き政策に変えられてしまっている事実に愕然とする。またひとつ日本のダメ外交を見つけてしまい、憤懣やるかたない読後感。2023/04/15
Carlos
15
JICAとODA。コンサルの仕事は良い面悪い面両方だね。なろうとは思いませんが。2019/09/29
ren5000
6
これを読んでODAやJIDOの認識が変わりました。この本に書かれている通りマスコミに踊らされてた何も知らない一般国民なんだなって分かりました。どちらが正しいかはわからないけど一方の話だけでなくこの本はODAの立場で書かれているのですごく勉強になりました。2013/11/12
紫の煙
5
開発コンサルタントという職業を初めて知った。ODAがいろんな問題を孕んでいる事は聞いたことがあるが、仕事の実体は全く知らなかった。国際競争の中で、本当に国益を求めて戦っている人たちには頭が下がる。我々は、官僚の姿を知らなさ過ぎるのか。2013/12/11
Sanchai
5
小説としての面白さはあまり感じなかったけれど、ODAを絡めた経済協力の進められ方がわかる解説書としてはかなり面白い。国益重視で日本企業の参加も見込んだ大規模な経済協力を進めたいグループと、プロジェクトをどんどん小口化して途上国の地元住民に本当に裨益する支援を進めたいグループとの間で、葛藤があるんだなというのがよくわかる。そうした援助機関から仕事を請け負うコンサルタントの立場で、著者はよく書いたと思う。著者のスタンスは序盤は前者寄りと思ったが、後半は後者寄りで、うまく纏めている。2013/02/13




