内容説明
大坂城で生まれた太閤秀吉の後継者秀頼は二十三歳を一期として、慶長二十年(1615)五月、炎に包まれた大坂城で母淀殿と共に消え去った。なぜ秀頼は大坂城において無惨な死を遂げねばならなかったのか、歴史の必然性を解き明かす。古文書の研究が歴史を明らかにする鍵であることを、秀頼の生涯によって例証する。
目次
第1章 豊臣秀頼の誕生
第2章 豊臣秀吉の朝鮮出兵
第3章 豊臣秀次の政権
第4章 豊臣秀次の印判状
第5章 豊臣秀頼と徳川幕府
第6章 大坂の陣―秀頼滅亡
第7章 豊臣秀頼の書状・印判状
終章―なにわのことは夢のまた夢
著者等紹介
森田恭二[モリタキョウジ]
1944年京都府生まれ。関西学院大学大学院文学研究科博士課程単位修了、博士(歴史学)、兵庫県立川西緑台高等学校教諭、大阪市立高等学校教諭、宇治市歴史資料館副館長を経て、帝塚山学院大学教授。専攻、日本中世史
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感想・レビュー
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狐狸窟彦兵衛
2
豊臣秀吉の晩年の子・秀頼を後継者として立つようにさせようと執着するあまり、結果的に豊臣家の衰亡を招き、滅亡せざるを得なかった過程が冷静に描かれています。ただ、その時に、淀の方はどんな気持ちでいたのか、また、権力者としてどのようにふるまったのかはよくわからない。やはり十分な資料がないのでしょう。「じり貧」としかいいようのない大阪城に拠った人々の思いはなんだったのでしょう。、「ちょっと待ったら、家康のおっさん死による」ではなかったか。で、本当に家康が死んでいたら、歴史が変わっていたかもと想像してしまいます。2014/06/11
k_samukawa
0
タイトル通りの内容ではない。先行研究を概観しつつ、秀次・秀頼の印判状の分析から得たことを盛り込んだという内容。政治制度史的なので、戦が好きな人が娯楽的に読むものではない。個人的には知見が深まったところがあり、もっと詳しい印判状の分析を一般向けに書いたものが読みたいと思った。2010/07/12