内容説明
子どもが好きな食べ物で常に上位に入る焼肉は、どこから来たか。日本や韓国で流行するみんなで火を囲んで焼きながら食べる焼肉はどのように生まれたか。日本、朝鮮、中国…、東アジア全域に広がる焼肉の文化を調理法、歴史、社会現象など多方面から取り上げる。「ホルモン=放るもん」「焼肉をプルコギという」「日本には内臓食の伝統がなかった」説など、これまで根拠もなく受け入れられていた俗説にも実証的に果敢に挑んだ力作。
目次
1 焼肉って何だ
2 朝鮮半島の焼肉の歴史
3 日本の焼肉とホルモン料理
4 “焼肉”を考える
5 “焼肉”の日韓関係
6 ホルモン料理を見つめ直す
7 日本の内臓食を掘り起こす
8 “焼肉”の起源再考
9 焼肉と内臓食「総論」
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シルク
13
今日我々が愛している「焼肉」ってやつ。肉と野菜をじゅうじゅう、鉄板で焼いてだ。焼ける傍から箸でさらってタレつけて。ビール片手にきゅう~! って、「アレ」。調べてみると「……”焼肉”の出現年は、日本が1938年、朝鮮が1939年、満州が1940年……」(p.340)「焼肉文化は、日本と韓国で発展するが、経済基盤の整わなかった北朝鮮では発展しなかった。」(p.31)……所謂「焼肉」は敗戦後、在日朝鮮人の方々が作り上げたのだと語られてきた。食肉の文化を持つ彼らが……と。 え、それ、違いまっせ?! と検証した本。2018/08/13
Wataru Hoshii
4
「ホルモンは放るもんに由来」「韓国にはプルコギはあるけど焼肉はない」「日本には内臓食はほとんどなかった」「日本の焼肉は戦後に在日の人々が生み出した文化である」…といった、焼肉にまつわる俗説(ほとんど通説と化している)が間違っていることを、膨大な史料を呈示しながら論じた「焼肉研究の基本文献」。在野の研究者がここまで切り込んだというのが素晴らしい。明治以降、内臓食は被差別部落や在日への差別意識と結びついて忌避される一方で、性的な力の源泉とみなされるようになる。人類学的に考えてもとても面白いテーマだった。2013/01/13
高木正雄
3
焼肉の常識として信じてきたことの多くが誤りだったことがわかった。焼肉やその前身のようなものが戦前にもあったことや、現在の焼肉は韓国でもそれほど歴史がないことなど知らなかったことばかり2024/09/04
ねむ
2
在日コリアンに関心を寄せるようになってから彼らと切っても切り離せない焼肉の歴史を知りたくなった。本書は日本における焼肉文化と歴史を、誤解されがちな通説への検証と指摘を交えながら紐解く。2024/10/11
balanco
1
大変おすすめ。「焼肉は在日朝鮮人が広めた」「日本では内臓食は無かった、また直火で肉を焼く調理法も無かった」「朝鮮では肉食が盛んだった」「ホルモンの語源」etc...といった俗説を豊富な資料と平易な文章で切れ味鋭く解体していきます。そして、その背景には異なる文化圏同士の理解へ強い思いがあります。焼肉が好きな人もそうでないひとも読んでみてください。2019/11/04