出版社内容情報
「科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間です」
「最後の鑑定人」と呼ばれ、科捜研のエースとして「彼に鑑定できない証拠物なら、他の誰にも鑑定できない」と言わしめた男・土門誠。ある事件をきっかけに科捜研を辞めた土門は、民間の鑑定所を開設する。無駄を嫌い、余計な話は一切しないという奇人ながら、その群を抜いた能力により持ち込まれる不可解な事件を科学の力で解決していく。孤高の鑑定人・土門誠の事件簿。
『永遠についての証明』『水よ踊れ』で業界の注目を集める新鋭が正面から挑む、サイエンス×ミステリ!
内容説明
科捜研のエースとして「彼に鑑定できない証拠物なら、他の誰にも鑑定できない」と言わしめた男・土門誠。ある事件をきっかけに科捜研を辞めた土門は、民間の鑑定所を開設する。無駄を嫌い、余計な話は一切しないという奇人ながら、その群を抜いた能力により持ち込まれる不可解な事件を実験データから読み解く。ある日、殺人事件の被告人を調べた二種のDNA鑑定が持ち込まれる。一方は被告人が犯人であることを示し、他方は彼が犯人でないことを明らかにしていた。客観的な情報から土門は衝撃的な仮説を導き出す―。
著者等紹介
岩井圭也[イワイケイヤ]
1987年生まれ。大阪府出身。北海道大学大学院農学院修了。2018年「永遠についての証明」で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
304
犯罪捜査における科学鑑定に『科捜研の女』のような派手さは一切ない。ひたすら犯行現場の微細な遺留証拠を収集分析し、隠された真実を解き明かすのが仕事だ。このため鑑定人が主人公のミステリは鑑定で即座に犯人が判明すればつまらないし、わからなければ無能者となる。この難問を解決するため、本書では優秀な鑑定人土門が暴く犯人の意外な動機に重点を置く。どの犯人も土門の突きつけた証拠に抗し切れず自白するが、自身も心の傷を抱えていたのが浮かび上がる。創作上の苦心は認められるが、小説としては先が読めてしまうパターンが残念だった。2022/11/10
名古屋ケムンパス
225
見事に整った内容の作品です。朴訥な主人公は元科捜研に勤務した「最後の鑑定人」と呼ばれる確かな腕を持つ分析屋さんです。退職の経緯は最終章で明らかになりますが、緻密な作業が難事件を解くカギを依頼人たちにもたらします。しがらみを理由にして、真実に向き合うことを避けるのが世渡りの常套手段となる昨今、「鑑定人なら、科学を裏切るような真似をしてはいけない」との彼の言葉が皆の胸を鋭く刺すようです。2024/07/27
いつでも母さん
220
高倉さんの作るハーブ水が気になって仕方がない(笑)岩井さんの新作を面白く読んだ。これはもうシリーズ化決定ですよね?(願望)絶対にその後の鑑定人・土門を知りたい。「噓をつくのは、いつだって人間です。」ですよね・・(汗)2022/10/03
みっちゃん
186
彼に鑑定できないものは他の誰にもできない。そう言わしめる「最後の鑑定人」民間の研究所でありながら、捜査が暗礁に乗り上げてしまった案件が持ち込まれる。「科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間です」無表情でぶっきらぼうな物言いの下に実は熱い正義感と思いやりを秘めた人物であること、警察を辞める事になった7年前の事件の真相も読み進めるごとに明らかになっていく。依頼人に「ハーブ水」を飲ませてその反応を伺う助手のキャラも話に彩りを与えている。これ1冊で終わるのは余りにも勿体ない。ぜひ続編も読みたい。2022/12/12
reo
177
科捜研物の本場はTVドラマ「CSI:科学捜査班シリーズ」に尽きる。日本ではやや落ちるが沢口靖子主演の「科捜研の女シリーズ」だろう。特に米CSIはドラマが大ヒットしたお陰で、就職志望者が殺到し、化学捜査を行うセクションを独立させCSIと命名したという。しかも米国のみならず各国警察も同様組織改革をし科学捜査研究所の充実を図ったといわれている。この本ではCSIの分析力とはまた違った日本流の推理でと忍耐で事件の解決をみるという内容。「科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間です」ま、その通りですな🤔2024/01/09
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