出版社内容情報
人間たちを恨みながら妖狐として生まれ変わったピリカ・ムーは、3つの願いと引き換えに、人間の魂(ハート)を盗もうとする。 しかし、呪いをかけようとした少年・光太郎の優しさに、気持ちが揺らぎはじめる。
妖怪少女と野球少年、二つの<ハート>が織りなす魔法と希望のファンタジー。
内容説明
人間たちの3つの願いをかなえてかわりにハートを盗る!それは、あたしたち妖狐にとってのだいじなテストだった…。妖怪少女と野球少年、二つの“ハート”が織りなす魔法と希望のファンタジー。
著者等紹介
那須田淳[ナスダジュン]
1959年、浜松市に生まれる。早稲田大学卒。1995年からドイツのベルリン市に在住。主な著作に、『ペーターという名のオオカミ』(小峰書店・産経児童出版文化賞、坪田譲治文学賞)など多数がある。「鬼が島通信」編集長。日本ペンクラブ会員。日本YA作家クラブ会員。青山学院女子短期大学非常勤講師
佐竹美保[サタケミホ]
富山県に生まれる。イラストレーターとして、SF、ファンタジー、児童書の世界で活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころも
7
児童文学らしい、わかりやすいお話だった。恥ずかしながら「リコリス=彼岸花」ということは知らなかった。キツネノカミソリは聞き覚えがあるような気がしたが、やはり自分のなかでリンクはしていなかった。新たな知識を得た。2014/09/26
バニラ風味
7
リコリスの花だったピリカは、強い恨みを抱いて亡くなり、妖狐として蘇った。人間は自然破壊をしたり、見目悪い者を忌み嫌ったりと、妖狐たちにとっては、疎ましい存在。ピリカは人間界に行き、人間を騙して「3つの願いをかなえる」引き換えに、そのハートを奪うことにする。奪ったハートが純粋なほど、成績が高く、大いなる妖狐になれるのだ。だが、人間界で出会った少年は…。信じること、思いやりの心、正直に生きることの大切さを描いたファンタジー。佐竹美保さんの絵が彩りを添えていて、想像力をかき立てられた。2014/01/04
しょうじ
5
那須田淳先生の作品なので手に取った本。初版は10年前も前だけれど、先日ニュースで見たような問題が話題になっていた。この問題が、妖怪である主人公を通して、ときには幻想的に、ときにはとても現実的に書かれている。可愛いらしくて読みやすいし、真摯な子どもたちの心にスッと届きそうな物語だった。こういう真摯な気持ち、大人になるとどこかに置いてきてしまうのか、忘れがちだなぁと哀しくなりつつ、懐かしく思い出した。2023/03/12
速水 舞
2
大妖怪になる試験のため、人間のハートを取ろうとする妖狐のピリカ。しかし、狙いを定めた少年は、昔、リコリスの花だったピリカを助けてくれた恩人で…。佐竹さんの挿し絵がとっても素敵です。思いやりや勇気、人間の罪を考えさせてくれるファンタジーです。2014/02/09
河野孝之
2
もともと浜松市で上演されたミュージカル劇『この星に生まれて』を小説化した作品とのこと。 人間たちの3つの願いを叶えてハートを盗むテストに臨んだ妖怪候補生のピリカだが、相手はかっての恩人だった光太郎だった。 もとは舞台劇だったせいかラストも含めて全体的に書き込み不足を感じたが、わかりやすい作品になっているともいえる。2013/11/24