内容説明
戦後、大衆登山黎明期に、北アルプス最奥部で暮らした人々のさまを活写した『黒部の山賊』(伊藤正一)。このベストセラー山岳名著に登場する愛すべき山人(やまど)、「山賊鬼サ」その人が語る山の民の生活譜。大自然に生きた生活者が披露する、いまや失われた山語り・猟語り、そして自分語り。巻末に解説「山の賢者」(池内紀)を収録。
目次
ボッカ・ガイド・遭難救助(ボッカ;ガイド;遭難救助)
イワナ釣り(職漁;イワナ釣り談義)
猟師(小物猟;クマ;カモシカ;根拠地と荷揚げ;カモシカ狩り・そもそもの初めから ほか)
著者等紹介
鬼窪善一郎[オニクボゼンイチロウ]
通称・鬼サ。1914年7月、長野県北安曇郡広津村(現・池田町)に生まれる。青年期より狩猟を始め、自他ともに認める健脚を生かして、ボッカ、ガイド、イワナ釣りなど、山での仕事に携わり続けた。北アルプス遭難救助隊員を務め、大町案内人組合の有力メンバーでもあった。後年は黒部五郎小屋を経て三俣山荘の管理人となり、多くの登山者に親しまれた。1996年10月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
83
「黒部の山賊」にもその名を残す著者による山仕事のことが書かれている。狩猟、ボッカ、案内人、炭焼。釣り。昭和も20年から30年代にはこんなやり方もあったのかと驚くこと数々。山の遭難者で死者が出ると医師を現場まで案内してその近くで重油で火葬することや、女性のハイカーを七人案内し危険な目にあうこと、イワナ釣りを名人から教えてもらいやがて一部を商売として売ったり。なんといってもクマ狩りの話が面白い。当時はカモシカも狩猟対象になっていたこと。現在は観光客が多くて自然破壊も多いと思う。彼のような人はもいないだろう。 2024/03/08
ワッピー
35
「黒部の山賊」の登場人物「鬼サ」こと鬼窪善一郎氏の一代語り。山を知り尽くし、山小屋を建てるために材料を運び上げる歩荷と山岳ガイドを務めた鬼窪氏は優れた猟師でもあって、イワナ釣り、クマやカモシカの狩りでも超人的な活躍を見せる。朴訥な氏の語りの中に、動物の習性、山の食べ物など豊かな知識と経験から来る強い自負と山の環境の厳しさがにじみ出る。「~山賊」の登場人物たちの素顔も語られます。特に印象的なのは山入りの際、山の神への奉納作法で、頁は少ないものの、当時ですら薄れつつあった山の信仰について触れています。2024/12/21
しおり
21
昭和初期の黒部の山でボッカ、救助隊、猟師、釣り人として生きた鬼窪さん。今では考えられない、スゴいとしか言い様がない体力、生き方をした方です。その生活ぶり山人とタイトルにあるけど、山賊?って思っちゃったほど。そしたらシリーズで「黒部の山賊」もあるそう。どんだけ鉄人が黒部にいたのでしょうか。そうした方々が当時の山の全般を支えてたのでしょうね。2024/01/01
087115
3
山で生きる生々しい人生がここにある。2021/10/16
tahima
1
黒部の山賊に続いて読了。山賊と呼ばれた男の一人、鬼窪善一郎氏の貴重な経験が語られる。近代の山の生活が生き生きと描かれていて興味深く、黒部や北アルプスを訪れる前に読んでおきたい。2023/10/01
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