内容説明
大正に生まれ、九十三歳で「令和」を迎えた著者が、還暦から米寿までの約三十年間、平成時代の作品をまとめた紀行文集。初老を過ぎて再探訪した地で歴史への思いをはせる第一部。知られざる古道や山里をたずね、その地に根付く伝説をひもとく第二部、郷愁を感じた曽遊の地への紀行で構成する第三部の三部構成に計45編を収録。ベテラン作家らしい円熟の文章表現で、平成年間における山と旅のエピソードを描ききった一冊。
目次
第1部 変わりゆく山河(大杉谷・再探訪;翁峠盛衰記;安房峠への哀惜 ほか)
第2部 名残の秘話(信州・南北の秘湖;古道の峠越え;浮かぶ面影 ほか)
第3部 郷愁の山路(早春の高尾山;西沢渓谷をゆく;山桃の里・森の娘 ほか)
著者等紹介
岡田喜秋[オカダキシュウ]
1926(大正15)年、東京生まれ。作家。旧制松本高校を経て、1947(昭和22)年、東北大学経済学部卒業。日本交通公社に入社し、1959(昭和34)年より12年間、雑誌『旅』編集長を務める。雑誌編集者時代から日本各地を取材して、数多くの紀行文を発表。日本交通公社退職後は、横浜商科大学教授として、観光学の構築に努める。著書は50冊を超える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
42
著者が長年の間に訪れた山路を紀行文として綴っています。日本の里山を訪れ原風景の中に身を置き、土地土地の民俗や文化は自然に溶け込んでいる様をエッセイ形式でまとめています。滋味に満ち溢れた一冊でした。2019/09/27
100名山
7
旧制松本高校から東北大を経て月刊旅の編集長を務めた94歳になる紀行文作家の1989年から2002年までの紀行文を書き改めて新刊として発売したものです。土地の歴史や地名の由来を知り、地元の人の話に心を止める人です。何よりも空を見上げる本物の旅人だと思います。国土地理院の地図を見ながら読み進め、思わず軌跡を追いたくなりますが、だいたいが20年以上前の紀行なのでやめておきましょう。読み易く自粛続きの今の閉塞感を和らげてくれます。2020/07/09
Kan
5
著者が山々や地域を周り、人との出会いや書き留めた風景を事細かに描かれている紀行文集 山登りはいいなあと思う一冊でした。季節を楽しむ。花を愛でる。そんな心が大切なのではないかと思いました。 2023/02/06
こけこ
2
山には、いろいろな楽しみ方があることに改めて気づいた。読みやすい文章だし、テンポが良くて、自分が登っているような疑似体験ができた。今度は、実際に登ってみたい。2024/10/15
Tadayoshi Konishi
1
著者が長年かけてきて訪れてきた紀行文だが、その地の歴史なども紐解きながら、集落や峠道、山へ向かう。豊富な知識量などナドすごいと感心。御年93歳でこれをまとめているのにもすごいと感心しました。 ここに登場いる場所に行ってみたいけどコロナが終息するまで我慢ですね。2020/04/15