感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
読特
51
六線沢への羆襲来。記録小説「羆嵐」に描かれた事件を今度はコミックで読む。絵になっている故、イメージは固定化はされてしまうが、想像はつきやすい。住民主観での物語の展開。創作部分の多さを感じるが、実感は持ちやすい。羆を擬人化しての思考描写。動物の感情理解は容易くない。当たらずとも、考えるきっかけにはなる。被害の悲しみ。自然に罪を被せても更生することはない。憎んでも報われることはない。そういうものだと知識をつける。学ぶことが共生につながる。羚羊対密猟者がテーマの作品がもう一遍収録。無駄な戦い。結末は虚しい。2023/09/01
たまきら
35
熊問題に関する様々な本を読んできたが、綿密な調査に基づいて書かれる凄惨な事件、描写にうなってしまった。自然、野生動物。農耕民族集落と人間社会。何か一つに狂いが生じたせいで全てがドミノ倒しのように崩れていく…。妊婦の壮絶な叫びや劇画的描写にぞっとしたが、作者の視線はあくまで中立だ。生死の戦いにおいて、正義などない。ニホンカモシカの密猟の話でも、そこが奇妙なまでに潔い。真剣勝負と許し…。自分の立ち位置を定めるのは難しいが、考えさせられる内容だった。2019/01/25
しぇん
22
KindleUnlimitedで。余りに有名なこの話は、漫画で見ると凄惨さが一段とまして読めました。羆側の視点でも書かれてるのは漫画オリジナルですが、良かったのではないかな?と。もう一編のマタギと野生の知恵比べは残酷に見えるのは、人間の傲慢さなんだろうなと2023/04/24
さりぃ
21
#ヤマケイ文庫 野性伝説 羆風 #戸川幸夫 #矢口高雄 KindleUnlimitesdで読了。 怖かった。 羆、凄い。 でもお腹すいたら食べるよね。 ひどいけど、人間も一緒だ。 もはや、ホラー。2019/11/05
瀬谷
16
大きな力に終始圧倒された。羆の力強さと自然の美しさ、躍動感が入り交じった描写が惨劇をまざまざと感じさせ、ハラハラしながら読んだ。猟師の久保さんの解説で「人間を含めた、動物の持っている好奇心、冒険心、闘争心、攻撃心などをすべてない交ぜにした、すべての生き物が持つ『狂気』」という表現が印象的。羆や鹿の動物視点は、本当に人間に対してそう考えていそうだなと興味深かった。また、「飴色角と三本指」の話も命懸けの知恵比べにドキドキした。 「自然を守ろう」といったワードは人間が軽々しく言って良いものなのか考えさせられた。2022/11/25