出版社内容情報
特許取得をめざす技術者であれば誰もが知っておきたい,実践的テクニックを学べる一冊.重要な2つのポイントを中心に,徹底解説.
特許取得をめざす技術者であれば誰もが知っておきたい,実践的テクニックを学べる一冊.
とくに重要な2つのポイントを中心に,徹底解説します.
1)「技術的範囲」を適切な広さにまとめる
たとえば「机から転がり落ちにくい鉛筆」で特許取得を考えたとします.このとき「六角形の鉛筆」と表現して発明内容をまとめると,技術的範囲は断面が六角形のものに限定されてしまいます.しかし,「転がり防止の構造を軸に設けた鉛筆」と表現すれば,六角形を含む多角形断面,断面は円だが突起付きなど,断面の形状に縛られずに技術的範囲を広げることができます.
このように,発明の表現の仕方によって技術的範囲を広げることができ,それに伴い特許の価値も大きく変えることができます.
本書では,技術的範囲を広く適切な範囲にまとめる方法について解説します.
2)「非容易性(進歩性)」を示す
たとえば「消しゴムが一体化した鉛筆」で特許取得を考えたとします.このとき,単純に先端に消しゴムを付けて「便利である」と主張しても,審査で拒絶される可能性が高いでしょう.しかし,芯のように減ってきたら削って出せる形状の消しゴムとし,鉛筆で書くように消すことができる「これまでにない便利さ」があると主張すれば,特許化の可能性が高まります.この違いは,非容易性を示せているかどうかです.
審査時の拒絶理由の90%以上は「非容易性(進歩性)」の欠如であるといわれています.非容易性の示し方次第で特許化の実現性も変わってきます.
本書では,発明内容から非容易性を抽出する方法について解説します.
解説のあとには,掃除機やエスカレータなど具体的な題材を使った演習問題があり,より実践的にテクニックを習得できるようになっています.
また,書類作成・手続きの流れ・特許成立後の対応など基本についても説明していますので,出願経験の有無にかかわらず特許取得の実務全般に役立つ内容です.
第1章 特許とは
●さまざまな知的財産権
第2章 特許の基本
2.1 特許出願から特許取得までの流れ
特許出願/方式審査/実体審査
2.2 特許7要件
産業上利用できる自然法則を利用した技術的思想か/新規性はあるか/非容易性はあるか/
最先の出願か/実施可能な開示をしているか/特許請求の範囲は明確か/他
2.3 出願書類
特許願(願書)/明細書/特許請求の範囲/要約書/図面
●特許情報
第3章 発明・特許化のテクニック
3.1 発明から特許へ
発明のコツと特許化のための下準備/将来に直面する問題に気づくテクニック
3.2 優れた発明
一般的な問題解決型の発明/新技術や新現象を利用した発明/ビジネスモデル特許
3.3 つねに意識しておきたい4つのポイント
問題を探し,分野特有の新しい効果を抽出する/他
●演習問題─新しい効果を探す
●その分野特有の新しい効果があれば特許になるか
第4章 特許請求の範囲を最大化するテクニック
~発明の精選と拡張~
4.1 特許請求の範囲を決めるポイント
権利の広さと特許の成立性/発明の精選と拡張
4.2 発明の補正と分割
補正/分割
●演習問題─その分野特有の効果から発明をまとめあげる
第5章 特許権の活用と他者特許への対応
5.1 権利侵害とその対応
侵害された場合/侵害していると警告された場合
5.2 他者特許対策
特許調査/特許の有効・無効の検討/抵触・非抵触の検討
5.3 特許権の活用方法
自己実施(とくに独占実施)/譲渡/ライセンス(実施権の許諾)
●弁理士
第6章 知的財産戦略としての特許
6.1 知的財産戦略の考え方
切り口を変えた特許群で実用可能な全範囲を網羅する:遠心脱水機
原理,構造,材料,システムの総合特許網で独自事業を包囲する:バブルジェットプリンタ
特・実・意・商の知的財産を十二分に活用する:リサイクルカメラ
苦い経験を生かし,国内外に特許網を張り巡らせる:HCミル
6.2 世界を相手にするための知的財産戦略
日本を取り巻く環境/海外出願
演習問題の解答例
参考文献
索引
内容説明
審査での拒絶理由の90%以上は「非容易性(進歩性)」の欠如。非容易性につながる新しい効果を発明内容から抽出するテクニックを解説!
目次
第1章 特許とは
第2章 特許の基本
第3章 発明・特許化のテクニック
第4章 特許請求の範囲を最大化するテクニック―発明の精選と拡張
第5章 特許権の活用と他者特許への対応
第6章 知的財産戦略としての特許
著者等紹介
小川勝男[オガワカツオ]
1960年新潟大学工学部電気工学科卒業。1960年(株)日立製作所知的財産権本部、1995‐1999年理事・知的財産権本部長。1998年日本知的財産協会理事長。1999年日東国際特許事務所(現・特許業務法人ポレール)所長。2006年小川特許事務所所長。弁護士
金子紀夫[カネコトシオ]
1969年東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻修士課程修了。1969年(株)日立製作所計測器事業部。2001年(株)日立ハイテクノロジーズ知的財産部部長。2003年茨城工業高等専門学校教授。2009年(財)茨城県中小企業振興公社総括テクノエキスパート。2011年ひらめき工房代表。2014年全国知財創造教育協会理事
齋藤幸一[サイトウコウイチ]
1963年山形県立鶴岡工業高等学校卒業。1963年(株)日立製作所知的財産権本部。1997年(財)日本テクノマート特許流通アドバイザー。2002年(社)発明協会特許流通アドバイザー。2011年(公財)茨城県中小企業振興公社知財総合支援窓口知財支援専門員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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