出版社内容情報
立体的な日本思想史像の構築を目指す概説書。
内容説明
本書は、立体的な日本思想史像の構築をめざして、広くアジア世界の中でその特色を浮き彫りにする新しい試みである。歴史学・文学・仏教学・民俗学などの周辺領域にも目配りし、最新の研究成果をふまえた待望の概説書。
目次
1 古代の思想(「日本」の誕生;奈良時代の思想と宗教 ほか)
2 中世の思想(院政期の思想;武家政権の成立と政治思想の展開 ほか)
3 近世の思想(世俗と宗教の葛藤;泰平の到来 ほか)
4 近現代の思想(「文明」への旅立ち;臣民と国民 ほか)
著者等紹介
佐藤弘夫[サトウヒロオ]
1953年宮城県に生まれる。1978年東北大学大学院文学研究科博士前期課程修了。東北大学大学院文学研究科教授。博士(文学)
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感想・レビュー
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denz
3
7、8世紀から20世紀いっぱいまでの日本の思想を概説した教科書。主に文学部出身の研究者が執筆しているためか、宗教方面の記述が多く、その辺をあまり勉強して来なかった者としては有益であった。しかし、編著であるため執筆者にかなり個性が見られ、少々読みづらい。また近代以降に関しては、疑問に思える記述もあり、本書を導入として原典にあたって確認するのもいいだろう。2013/03/15
かじやん0514
2
編著者の、「現代において日本へ来た留学生に自信を持って薦められる日本思想史の概説書がない」という問題意識の下、編まれた本。その目的はおおむね達成されたと見てよいだろう。 若干、問題点をあげるならば、執筆者の異なる論文同士で叙述が重なっていて通史としては読みづらい部分がある点と、古代における仏教の影響を強調しすぎているきらいがある点だろうか。 とはいえ、巻末の参考文献リストや年表が充実しており、広く日本の思想について学ぶ学生には必読の一冊であろう。2011/02/18
マウンテンゴリラ
1
西洋・東洋を問わず、思想史的なものに多少興味があり、断片的に関連書物には接してきたものの、学生時代の不勉強もあり、系統的な理解に乏しい私のような人間にとって役に立つのではないかという思いから読んでみた。神道、儒教、仏教そしてキリスト教といったそれぞれの宗教思想を根本的な対立までに至らせず、巧みに政治思想の中に取り込みながら、また、外来のものに依存せず独自性を加え、国家としての誇りを保ちながら発展させてきたところに、良くも悪くも日本人の小利口さとでも言うべきものを感じた。2013/04/10
ビッグマック
0
軽い気持ちで読んだら近世辺りが複雑でしたがいつの時代も今の状況を冷静に見据える思想が多くて読み終わって日本の歩みを信じられました。先進国になれた一因。2017/02/25
kotsarf8
0
概説書を再読。自動車教習の第二段階に追われる日々だったため、読み終わるのに結構時間がかかった。日本思想史の概説書はこの本が2005年に出るまで20年は皆無だったと思われる(間違ってたらごめんなさい)ので、入右門者には貴重な一冊。ただ各章ごとに執筆者分担制をとっているため、通史としては読みづらい(執筆者感間の考え・ニュアンスの相違、内容の重複)。多少の「クセ」があってもようから、誰か一人の手で書かれた通史が読んでみたい。2012/03/09