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出版社内容情報
ロス郊外にある奇妙な博物館の訪問から近代初めの博物館「驚異の部屋」へ遡るノンフィクション。
内容説明
ロス郊外にある奇妙な博物館。その存在は訪れる者を動揺させ、西欧近代の出発点の根底を震撼させる。P.オースター、O.サックスら絶賛の傑作ノンフィクション。
目次
第1部 胞子を吸って
第2部 大脳の発達
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
6
ジュラシック・テクノロジー博物館(MJT)とその館長ウィルソン氏に魅せられた著者によるルポタージュ。面白い博物館って展示品に愛情と情熱が感じられるから、たとえ解説が短かったり、展示品が少なくてもそこでじっくりと時間を費やしてしまう。このMJTもそんな博物館の一つで、何よりも展示品の経歴の怪しさがウリ(?)。本物かな、解説は本当かな、どうなんだろと考え考えしながら見てまわるのは楽しそう。著者が裏を取ろうとすればするほど、展示品は限りなく本物に見え、同時に偽物のように思われるという不思議。2012/01/13
傘緑
5
「『A、E、N』は『非』アリストテレス、『非』ユークリッド、『非』ニュートンを意味してます。わたしたちのモットーのひとつとでもいいましょうか」「それは一個の博物館でありながら、博物館の批評であり…称揚のようなもの…すべてが合わさってひとつになったもの」展示されているのは人間の角やら鼠のトースト、蟻の頭に生える茸だったり…博物館と見世物が未分化だった時代を体現してる、が、どうにもこの本は好きになれない。奇を衒って書き手のもったいぶったところが、内容が内容なんだからそういう技巧は不要(あくまで個人の感想です)2016/09/03
misui
3
「ジュラシック・テクノロジー博物館を訪れた人は絶えず自分が(自然の驚異を)見て驚くことと、(こんなことがありうるか)どうかいぶかしく思うこととの間でゆらめいていることを知るのだ。そしてウィルソンはときどきほのめかしているように見えるのだが、人間であることのもっとも恵まれた素晴らしいことは、まさにそのゆらめき、そのように楽しく錯乱しうる能力なのだ。」2017/11/12
dilettante_k
3
原著95年。ロサンジェルスの雑踏に忽然と現れるジュラシック・テクロノジー博物館(MJT)。ふらりと立ち寄った著者は、数々の珍奇な収蔵品と真偽の疑わしいキャプション、そして館長デヴィッド・ウィルソン氏の人柄にたちまち魅了される。収蔵品やキャプションの真偽を辿るうちに、原=博物館ともいうべき16-17世紀の「驚異の部屋」に行き当たり、MJTをその系譜の後継者に位置づける。米国中の博物館・美術館関係者の敬意を集めるという実在のヴンダーカマーを題材に、知の統合と錯乱の間のゆらめきという博物館の愉しみを語る小著。2014/07/14
oDaDa
2
ロサンゼルスにある現代の『驚異の部屋』。それに魅せられた著者は、博物館の起源を辿り、グリーンブラットの『驚異と占有』でコロンブスに始まる新大陸への飽くなき欲望・好奇心がそれを生んだのだと自分の好奇心を納得させるように活写する。この驚異の精神は合理・啓蒙の精神に取って代わられたが、寧ろ今ではラテンアメリカに生き続け、それが魔術的リアリズムまでにきっと貫徹しているのだと註の中に書き記している。「驚異」、この言葉は先達であるコロンブスの日記にこそ幾度も登場する。ピョートルのクンストカンマーにも言及している。2022/02/28