内容説明
生まれる愛、誓う愛、試される愛。ありふれた幸せな夫婦は、ある日夫にかけられた強姦の冤罪により、運命の試練にさらされ―2019年女性小説賞受賞、NAACPイメージ・アワード受賞、アスペン・ワーズ文学賞受賞。
著者等紹介
ジョーンズ,タヤリ[ジョーンズ,タヤリ] [Jones,Tayari]
スペルマン・カレッジ、アリゾナ州立大学、アイオワ大学で学位取得。これまでに4冊の小説を発表。2003年にデビュー作“Leaving Atlanta”で黒人作家に与えられる文学賞、ハーストン・ライト・レガシー賞(デビュー・フィクション部門)を受賞し、その後も数々の賞を受賞している。エモリー大学のクリエイティブ・ライティングの教授でもある
加藤洋子[カトウヨウコ]
文芸翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
60
引き裂かれた関係、変わる愛、試される愛。古今東西あらゆる形を与えられてきた結婚という物語。ただの恋愛関係ではなく、そこに約束されたもの、誓約があるとはどういうことか。正常な人間性のなかで愛はどこまで耐えられるのか。残酷なまでの現実感、生きた声に打ちのめされる読書。ロイのプライドが混じり合った渇望、セレスチャルとアンドレのジレンマや苦痛、そのどれもが心をかき乱す。それぞれの立場で醜くなり切れない彼らの姿が痛々しく、美しい。ありふれた構図ながら、弱さと惨めさ、尊厳と憐れみの中に人間を人間足らしめるものを見た。2021/04/01
ヒデミン@もも
52
日本でもヘイト発言は問題になってるいるが、アメリカの人種差別は根が深い。免罪を絡めて男女の愛を確かめる。ジェンダーの問題も投げかけられる。女は、妻は、母は、こうあるべきだ。男の浮気は許される? 女だけに姦通罪? しかし、エピローグにえっ⁉︎ 読みが足りないのかな? 2021/05/03
星落秋風五丈原
20
書簡体も入れながら結婚したばかりのカップルが振りかかった災難によって心が離れていく物語2021/04/21
でら
19
結婚は長い時間を一緒に育むもので、もしそれが失われてしまった時、彼らの関係はどうなっていくのだろうかという「結婚」をテーマにした作品。結果的に冤罪ではあったけれど、ロイの考え方や思想はけっこうしんどかった。「特別な見返りを受けて然るべき。」「今なら許してやる。」など、セレスチャルを見下すような発言が多かった気もしたし。なので私はずっとそばにいてくれたアンドレとセレスチャルの関係性の方が好きだった。「結婚」というものの難しさは感じることができたが、まだまだ心情の理解が足りてないかも。読み直します。2021/09/30
とりあえず…
18
結婚という古今東西、至極当たり前の制度。それでいてこんなに考えさせられるものもないな、とあらためて思う。人種差別や性差別も触れてはいるが、本作の主軸はあくまで結婚。それを重々しくなく丁寧に描かれていて、ゆっくりと味わせていただきました。人それぞれに、或いは同じ人でも読むタイミングによって、感じ方は随分と変わる作品だとも思いますが、兎に角とても良い作品です。オバマさん、ビルゲイツさん、絶賛だそうですよ。知らんけど…2021/07/16