内容説明
坂本さんの秘密それを知ったときのおどろきは今でも忘れることができない。ぼくたち5人はみんな、坂本さんの秘密にひきつけられ、とらえられ、まきこまれていって、とうとう考えてもいなかったような事態が起こったのだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たぬ
24
☆4 好き勝手に空を飛んではいけない理由は足腰が萎えるからでしょ? あっ社会の秩序が乱れるからか!(思考レベルが低い私) それにしても小学校高学年の子に親のクビや左遷を匂わせて脅すって鬼畜すぎない? さらに手錠までかけててうわぁ…。坂本さんはヘタレなシーンばかりだし最後も悲惨でかわいそうになっちゃったな。2022/07/03
らくだ
5
全く、三田村信行は子供相手に容赦がない。孤独な青年坂本から空を飛ぶ方法を教わり、毎日飛ぶようになった五人組の小学生たち。空を飛ぶことは素晴らしい何かを得た気分。だが、KKKという謎の組織に目をつけられ……という内容。空を飛ぶ、というのは本当の意味の自由を意味していたのかもしれない。だから大人たちやKKKはそれを残酷なまでに禁じようとしたのかもしれない。ストーリーだけでなく坂本さんの人生の哀れさは本当に容赦がなくて、トラウマ児童文学というのも確かに、という感じ。2013/09/19
小説大好き
0
この作品、こんなに注目度が低いのか……。もっと読まれるべき傑作だと思います。子どもたちの喜びが大人(学校と家庭の両方)および国家に踏み躙られ、革命の火種となるストーリーで、基本的には他の方が述べている感想通りの作品ではありますが、特徴的なのは「男性の身体」というマスキュリズム的なテーゼだと思います。太田黒たちKKKの「検査」は徹底して身体への干渉であり、坂本さんの身体は作中通して執拗に痛めつけられます。これに伴い、自らの身体を解き放つ「空を飛ぶ」という前向きなモチーフが不穏な展開に飲み込まれていくのです。2024/12/16