出版社内容情報
人間社会の営み・家事労働に重要な位置を占めてきた台所という生活の場に映し出された各時代の暮しぶりを,主にイギリス・アメリカを中心に豊富な史資料から描く。
内容説明
人間社会の営みにはつねに台所があった。台所は家事労働の中心でもあり、影響力が大きいもっとも重要な部屋と言える。有史以前の遺跡の調理場から現代に至るまで、たんに台所の歴史的変遷をたどるのではなくむしろ、台所という生活の場に映し出された各時代の人びとの暮らしぶりに焦点を当てる。主にイギリス、アメリカを中心に、台所を舞台に奮闘する主婦・召使たちの生活の様子を、それぞれの時代の条例、財産目録、遺言書、旧家の食糧在庫帳、家計簿、請求書、日記、書簡、あるいは各家の秘伝書、料理法、作法書など史資料をふんだんに引用しエピソードを交えながら生き生きと描き出す。
目次
家の中心をなす台所
陶器の登場
典型的なローマ式家屋
調理ぎらい
食事習慣
労働者所帯の家計
保存食の新製品
自給自足の暮らし
新しい料理用レンジ
正餐の準備〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シルク
11
淡々と、淡々と。面白いことがひたすら淡々と描かれていて、まあー、楽しい読書だったことよv 「歴史への影響力では、おそらく寝室よりも」(p.2)勝るであろう場所――台所。肉を解体し皮を剥ぎ、魚の鱗を落とし塩漬けし、食材を無駄なく使いきるため保存食作りに精を出す。鍋の中では正体不明のものが煮え、腐りかけの肉はとんとん砕かれて、はるばる遠き地から運ばれたスパイスが山のように使われる……輸送に際して質が既に劣化しており、大量に使わないことにはきかないのだ。高貴な者も下々の者も、とにかくその腹を満たすため――台所。2017/11/05