出版社内容情報
茶会や宴席などを陰で支える特別な職業に京都の「配膳師」がある。いまや数少なくなった彼らの知られざるプロフェッショナルの実際を綴った貴重な記録。
内容説明
京都にだけ存在する男性だけの職業、「配膳さん」。紋付き袴のいでたちで、茶事、宴会、儀式など、さまざまな行事の進行を、万事、裏方でとり仕切る。「配膳」という仕事を通して、京都という町が育んできた「もてなし」の精神、その美的感覚と技術を生き生きと伝える。
目次
第1章 宴あれば配膳さんの出番あり
第2章 料亭の裏舞台
第3章 能と茶の見えない糸
第4章 点心づくり
第5章 祇園さん
第6章 もてなしの極意
第7章 もてなしの美学
第8章 姻戚でむすばれた都
第9章 座敷の空間演出
第10章 西陣、いまとむかし
第11章 水屋仕事にはげむ
著者等紹介
笠井一子[カサイカズコ]
広島に生まれ、幼少期を大阪で過ごしたのち、十歳より東京に。フリーランスのライターとして、道具に関する記事、料理人や建築にたずさわる職人などの人物ドキュメント、そして生活文化についての記事を雑誌に執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
112
京都という長い歴史と文化で築き上げられた配膳さんという仕事のこと。さん=配膳係=女性の仕事という先入観を打ち砕かれた。そのため表紙の写真は読むまで男性とは気づかなかった。京都には古来、様々な催しや祭りの宴がある。そこで料理を作るのは料理人。配膳さんはその料理を供するだけでなく下足番から、料理の説明から景色のセッティング、進行、花や器のしつらいまで担当する重要な役割があることを知った。図書館本2021/04/16
mayu
54
1万円選書。配膳さんという仕事を知っているだろうか。それはただ配膳をするのみではなく、茶事や冠婚葬祭に至るまで、お出迎えお見送り、席次やしつらえなど裏方の総まとめとも言うべき仕事である。京都のみ、男性のみの仕事であったようだ。私は配膳さんという仕事を知らず、料亭に足を運んだこともないが、この仕事にある常に相手の目線で考えて心からもてなそうとする姿勢には見習うべきものがあるように感じた。現在の効率的な方法もいいけど、時には配膳さんがいた頃の京都のようなゆとりをもった楽しみ方も粋だと思った。2020/08/11
みなみ
23
京都にある職業の「配膳」という仕事を紹介してくれる本。配膳さんとは、料亭での宴席やお祭り等の行事、法事等で行事進行を滞りなく運ぶように一切を取り仕切る黒子のような存在とのことだそうだ。現代では活躍する場が少なくなってきているのも納得だけれど、配膳さんのいる料亭で、ゆったりとしたひと時を過ごすような精神的な余裕のある世の中であってほしいな。2022/06/26
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
15
読友さんのレビューで知りました。配膳という言葉はありきたりなのに、配膳さん、となると京都にしか存在しないものとのこと。読み始めてすぐにその奥深さに引き込まれました。ホテルの宴会部がやってること、と例えると乱暴に過ぎますが。しかし宴会を行うことが常である料亭になぜ配膳部がないのか、なぜ外注しないといけないのか、それは仕出しの存在であることが理解できました。でもなぜそれが京都にしか存在しないのか。主人と客が直接ぶつかることのデメリットを排するために、緩衝役となるのが配膳という説明に膝の皿割。つまりは、ぶつか→2021/06/07
伶夜
9
配膳としてだいじなことは、お客の意向を早く汲みとること。(本文より)2021/05/22
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- 和書
- 手塚治虫と戦災孤児