PHP文庫
東洲しゃらくさし

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  • サイズ 文庫判/ページ数 358p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784569576008
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

東西の歌舞伎界を描きつつ写楽の実像を追う!

ときは江戸中期。華やかな東西歌舞伎の実相を克明に描きながら、謎の天才絵師・東洲斎写楽の実像をあぶり出す、異色の長編時代小説。

江戸期の東西歌舞伎の実相を克明に描きながら、謎の天才絵師・東洲斎写楽の正体をあぶり出す、異色長編時代小説。

▼寛政の改革の嵐が過ぎ去り、江戸の町にも漸く活気が戻った頃、上方の人気歌舞伎作者・並木五兵衛は、鳴物入りで江戸に呼ばれることに。彼の江戸下りに先立ち、一人の男が大坂の町を後にした。大道具の彩色方をつとめる彦三という男である。五兵衛のたっての頼みにより、江戸での手助けと、江戸芝居の様子を前もって報せる役目を担っていた。だが、待ちわびる五兵衛の許に彦三からの報せはなく、漸く届いたものは東洲斎の雅号を付した幾枚もの版摺絵であった。江戸の大立者を大胆な筆致で描いた似顔絵であり、五兵衛はそこに描かれた旧知の役者に思いを馳せつつ、江戸へ下っていくのである。

▼東西の風習・文化の違いと、芝居という虚の世界に、真実を追い求めた男たちの哀歓を、見事に描出した力作である。時代小説大賞受賞作家のデビュー作。

内容説明

寛政の改革の嵐が去り、江戸の町に活気が戻ったころ、上方の人気歌舞伎作者・並木五兵衛は江戸下りを決意する。五兵衛に先立ち、大道具の彩色方・彦三が大坂を後にした。江戸芝居の様子を報せるためでもあったが、待ちわびる五兵衛の許に届いたものは、東洲斎の雅号を付した幾枚もの版摺絵であった…。謎の絵師・写楽の正体と、芝居という虚と現実の狭間に生きる男たちの哀歓を描く力作。

著者等紹介

松井今朝子[マツイケサコ]
1953年、京都生まれ。早稲田大学大学院演劇学修士課程終了後、松竹株式会社演劇制作部に入り、歌舞伎の企画制作に携わる。退社後、歌舞伎上演台本の作成、評論、演出などを手がけ、97年、本書で作家デビュー。同年、『仲蔵狂乱』(講談社)で第8回時代小説大賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Makoto Yamamoto

10
突然現れて消えてしまった東洲斎写楽関連と思って手に取った。 実際そのつじつまがぴったり合う構成になっていて納得。 外題の『東洲』江戸を指している。 当時の文人たちの生きざま、歌舞伎等の仕組み等が伝わってくる。 それにしても蔦谷重三郎の眼は素晴らしい。 写楽ばかりでなく、十返舎一九、鶴屋南北もしっかり見出していた。 狂言作家並木五兵衛の視点での東西の芝居の違いも伝わってきた。2019/03/15

mashumaro

8
東洲斎写楽とは、なにものであったのか。歌舞伎の世界、稀代の版元蔦屋重三郎とからめて、この時代の文化の醸成を生き生きと感じさせる。時の政権に翻弄されながら隆盛と衰微を繰り返し、その影には多くの涙が流される。こうやって今の時代に日本文化は伝えられてきたんだなと思うと感慨深い。彦三の結末はやはり謎に包まれたままだが、慎ましくも良き人生があったと思いたい。2022/01/16

タツ フカガワ

7
上方の人気狂言作者並木五兵衛が、請われて江戸に江戸へ向かうことに。やがて江戸から写楽という絵師の評判が聞こえてきたころ五兵衛は江戸に向かうが、上方と江戸の芝居のやり方の違いに戸惑うばかり。写楽の絵の魅力との対比から描かれる歌舞伎の虚実が面白い。読み終えて、東洲=江戸だったのかと、改めて書名に納得しました。2017/09/11

筋書屋虫六

7
謎の浮世絵師・東洲斎写楽の出自に迫る時代小説かと思いきや、嗜好や肌感覚も違う東西の劇界で、上方から江戸に渡る芝居者の勝負心や艱難辛苦の方が読んで面白い。江戸の初興行で大失敗した並木五兵衛(五瓶)の起死回生の一本が『五大力恋緘』とは!しかも負けた心境の五瓶を「兄さんは辛抱が足らぬ」とぴしゃりと言い放つ二代目菊之丞の言葉が深くて、思わず心を鷲づかみされました。2010/05/05

renren

6
写楽というより、並木五兵衛(五瓶)という劇作者が、上方歌舞伎から江戸歌舞伎へ移ったときの風土の違い、価値観の違い、カルチャーショック!、同時代の文人たちの営みをありありと描く本。元禄、蔦屋に写楽に歌麿、山東京伝に十返舎一九、錚々たる劇作者たちに戯作者たち。つくづく豪華。写楽(彦三)が狂言回しっぽくありつつも、人の、ほかでもない「生きている」命のあかしを描きとめたい観察眼と感性の持ち主として描かれているところも好感。2011/11/09

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