内容説明
白川静の学問を専門家が分野ごとに解説する三冊の入門書。第一巻文字。漢字の体系的な理解に基づいて、字書三部作『字統』『字訓』『字通』は編まれた。その深遠な文字学を通して、白川静が目指したものは何だったのだろうか。
目次
第1部 漢字とその歴史と(漢字の姿;中国古代文字―甲骨文と金文と;『説文解字』)
第2部 白川文字学の特色(白川文字学の意義;白川文字学が開いた世界;白川学における民俗学;白川文字学の体系)
第3部 白川文字学の展開(『字統』;『字訓』;『字通』;白川静の漢字・漢文教育論)
解題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
奥澤啓
47
漢字文化圏に生きる人間として、漢字そのものを深く理解し漢籍も読めるようになりたいと思いつつもなかなか手がまわらない。白川静は仰ぎ見る巨人であり、その学問は仰ぎ見る巨峰である。圧倒される。『文字逍遥』、『漢字』等はこれまで読んできたけれど、本格的に白川静の世界を知るには『著作集』をひもとくしかない。そして何より漢籍を読まねばならない。白川静は『四書五経』や『万葉集』は暗誦できるほど読みこんでいたという。「暗唱」ではない「暗誦」である。違いは調べてください。とりあえず『白川静の世界』三巻を精読したい。2015/04/24
しろきいろ
8
図書館。面白くてうなる。漢字や文字ってあまりに身近。まさかそこからこんな豊かな世界が広がってるなんてなあ。冒頭の漢字の歴史&現在の状況が簡潔で腑に落ちることだらけ。白川先生がこの道を切り開いたのがそもそも万葉集が好きすぎたためというお話味わい深すぎて大好きになった。次はいきなり文字逍遥を読む…読めるかな…2019/10/15
かりんとー
4
(市立図書館)今年はずっと白川静かな?2021/01/23
VISTA
1
漢字研究の第一人者・白川静の漢字研究に至る流れと思想の源流を解説する本。 代表3書を読み通すのは難しいので常用字解でも...と思ったがそれも大書で笑ってしまった 字書として字統でも手元に置こうかな2021/04/28
wanted-wombat
0
白川静の文字学についての格好の入門書。文字学に焦点を絞られているのがいい。白川静と言えば字書三部作という印象で、文字学の権威という認識しかなかったが、そのバックボーンには様々な分野に渡って広く、深い知識があるのだと知った。正に知の狩人である。文字の世界の奥深さに、愕然としながらも魅了される。2014/03/10