内容説明
小アジアで生まれた聖ニコラス信仰が、各地の異教時代の信仰ととけ合いながら、囚人や水、そして子どもの聖人などに姿をかえ、ヨーロッパ全域に広がってゆくプロセスを、詳細なフィールドワークをもとに描く。
目次
第1章 サンタクロースのフォークロア―聖ニコラスの民間信仰と歴史
第2章 冬のさなかに豊かさをもたらす聖人
第3章 麦わらの聖人
第4章 水の聖人
サンタクロースと会うために
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
324
聖ニコラウス(本書ではニコラス。国によって呼称は様々)がサンタクロースのモデル(あるいは元の姿)であることはよく知られている。聖ニコラウスは4世紀ミュラ(現在はトルコ領)の司教であり、元々はオリエントの聖人であった。それがやがて長い時を経てヨーロッパ全域に広まっていったのである。本書は、そのタイトルからはそうしたサンタクロース伝説の形成過程が述べられるものだとばかり思っていたが、そうではなく、サン・ニコラ・ド・ポールの町(フランス北東部ロワール地方)からはじまって、ニコラウスに纏わる各地の祭祀や民俗を⇒2022/12/10
うえ
6
元々海の守護聖人だったニコラスがロレーヌ地方で聖人として崇められるまで「聖ニコラスの伝説には、子どもや若者がよく登場する。最初の話は、聖ニコラスが司教をしている間のことである。儀式に参列しようとしたある女が、火にかけた盥で子どもを洗っていたのをそのまま忘れてしまったが、聖人のとりなしで、子どもは死から救われる…三人の子どもが落ち葉拾いの帰りに道に迷い、肉屋の家に助けを求める。肉屋は親切そうに子どもたちを中に入れるが、殺して塩漬けにしてしまう。ところが七年後に聖ニコラスがやってきて、子どもたちを復活させる」2021/12/18