出版社内容情報
錬金術は、ともすれば、あやしげな贋金造りの詐術と考えられるが、実は、それは黄金を人工的に作り出すための「哲学」である。この一種恍惚たる悪の輝きを内蔵するかに見える科学の相貌を、本書では、歴史的にたどりつつ、錬金術もしくは錬金術的思考をコンテクストに即して再検討する。
内容説明
ともすれば贋金造りの詐術と思われがちな錬金術は、実は黄金を人工的に作り出すための「哲学」である。本書では、錬金術もしくは錬金術的思考をコンテクストに即して検討する。
目次
錬金術とは何か
黒い錬金術
神話と錬金術
錬金術の変貌
錬金術のエロティシズム
危険なマンドラゴラ
箱の話
ガバリスの転生
神の署名になる記号
客体の呼びかけ
太陽伝説
太陽と獅子
黒いプラトン
黒の過程
秘密結社について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
編集兼発行人
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中世の地中海域にて興隆した営為に関する考察。貴金属を卑金属から人工的に創出しようとする作業の背景として両性具有近親相姦糞尿地獄寡婦孤児等々の周縁性に基づく世界認識構造を導入して「完全なる魂」を目指すという哲学が潜むことを物理化学絵画宗教といった様々な事例を引きながら解説。術において復古主義と革命主義との実現不可能な同居という人文科学的な増進を目指す過程で生じる不本意な失敗により自然科学的な法則の数々が発見され現在に連なるという結果を通じて捨てられた精神と拾われた物質との逆相関という或る種の皮肉を垣間見る。2015/01/29
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