出版社内容情報
幼なじみのファンショーが、美しい妻と小説の原稿を残して失踪した。不思議な雰囲気をたたえたこの小説の出版に協力するうちに、「僕」は残された妻ソフィーを愛するようになる。だがある日、「僕」のもとにファンショーから一通の手紙が届く。いまアメリカで最も注目される作家の最高傑作。
内容説明
「いまや僕は理解した。この部屋が僕の頭蓋骨の内側にあるのだということを。」自己の内部にひそむ他者の影を追うミステリアスな物語。「ニューヨーク三部作」の最後を飾る傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
63
オースターのニューヨーク三部作『シティ・オヴ・グラス』『幽霊たち』、そしてこの本。3つの物語は究極的にはみな同じ物語だという。本書の中には、銃の製造で知られるウィンチェスターの未亡人サラのエピソードも挿入されている。夫の作ったライフルで殺された人々の幽霊が自分の魂を奪いに来る恐怖に駆られた彼女は、自宅に次々の部屋を建て増ししていった。毎晩違う部屋で眠れば幽霊たちの追跡を逃れられるのでは、と考えたのだ。その結果、無数の廊下、無数の隠れ場所から成る、気違いじみた迷路が出来上がった。世に知られる「ウィンチェスタ2013/09/18
里愛乍
41
三冊目にしてようやく読み慣れてきたのだろうか、一番読み易かったような気がする。本作も実体のない人物と、失われていく自我のようなもの。一体自分は誰なのか。実体するのは彼の書いた本だけ、〝彼〟についてを探るために、自我を失っていくかのような…クインや赤いノートブックなど、三部作既読者が楽しめる展開も嬉しい。そう、少しでも〝解る〟という瞬間が嬉しい。それほどまでに明確な正解が見つからない物語である。換言すれば「人生は意味をなさない」ああ、まさにそれなのかもしれない…2019/03/07
Small World
30
オースター初期のニューヨーク三部作の中で、一番面白く読めました。なんか、読んでいくうちに「鼠」を探す僕の物語を思い出しちゃいました。これってシンクロニシティですよね~。途中、メタな展開があるのですが(クィンやスティルマンも出てくるし)三部作のつながりを確かめるため、いつか再読したいと思いました。2018/10/08
Speyside
25
「ニューヨーク三部作」最後の一冊。一番面白かった。前二作と違い一人称視点なためだろうか、前二作にも増して、主人公が失踪した友人の足跡を辿りながら「自分とは何者か」を探る旅にシンクロしていく感覚があった。「おそらくわれわれは自分自身のために存在しているのだろうし、ときには自分が誰なのか、一瞬垣間見えることさえある。だが結局のところ何ひとつ確信できはしない。人生が進んでゆくにつれて、われわれは自分自身にとってますます不透明になってゆく。自分という存在がいかに一貫性を欠いているか、ますます痛切に思い知るのだ。」2021/03/16
おはち
23
ニューヨーク3部作、それぞれ独立した物語だけれど、探偵する(他者の人生を追いかける)ことによって自分を見失うことや視点がオースターになる点など、共通する点がいくつか。ただ前2作が自分を見失ったままで終わってしまう中、本作は一応物語として帰結している。オースターにとって書くという行為は自分から離れることを意味するのかも。友達の誕生日パーティのプレゼントを買えない子にファンショーが親に持たされたプレゼントを渡すシーンと、ウィンチェスターの未亡人が増築し続ける自宅で餓死しかけるエピソードが何故か印象的だった。2019/07/28
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