内容説明
古来、地図には二種類あった。陸上で自分たちの知りうる範囲を描いた「マップ」、何もない海上に航海のため正確な経線・緯線を付した「チャート」。「チャート」すなわち海図を描くことは、世界を俯瞰する試みでもあった。新大陸発見から産業革命、資本主義の誕生、世界大戦まで、海の視点から読みとくと、全く新たな通史が見えてくる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
16
海図による海洋世界の把握を軸に読み直す世界史。プトレマイオスの世界図がイスラム圏や中国も含め長く原典になっていた時代から、ヨーロッパによる大西洋や太平洋の発見によるプトレマイオス的世界からの脱却、そして帝国主義時代のシーパワー史を一つの視野からまとめていて、著者の著作の中では高度だが興味深い。航路の発展や修正から大航海時代の冒険者たちの記録を読み直しているのも面白い。やがて、イギリス海軍の世界的な調査、海図製作が世界の帝国主義の基盤となり、イギリスをその覇者に押し上げていくのである2014/06/24
in medio tutissimus ibis.
3
現代から過去を振り合えると無意識に現代の地図を片手に考えてしまうけれど、かつては地球がこれほど海ばかりだとは考えられていなかった。しかしその無知が航海へ踏み切らせ正確な世界を知る切っ掛けとなっているのは面白い。地中海とインド洋からなる第一世界。コロンブス以後のカリブ海と大西洋の第二世界。マゼラン以後の太平洋の第三世界。世界史の展開はこれらの世界をつなぐ海上の道の発見とそれを記した海図の蓄積と軌を一にする。グロティウスやマハンの思想に触れたことがあったけど、それが実際に世界を動かしたのを確認すると感慨も一入2024/07/12
コウヘイ
3
ヨーロッパ人の世界の見方が歴史的にどのように変化していったのかを海図とともに説明していた。海図の存在が船の航行にどれだけ影響しているか知れた。2017/02/07
hakodadi
2
3月は怒涛の忙しさで読書量激減。その中でやっと今朝読み終えた本がこれ。Chart(海図)から読み解く世界史という切り口が斬新だ。プトレマイオス~メルカトルを経て現在のGPSによる電子海図。その向こうにはコロンブス・クックの航海に始まる、太平洋・大西洋の航海と「3つの世界(欧・米・アジア)の発見と連結」の壮大な歴史が見えてくる。ペリーの函館来航の大きな目的のひとつが函館周辺の海図の作成にあったことの意味があらためて納得できた。2014/04/03
koji
2
著者に失礼ですが、思わぬ掘り出し物でした。海図を経糸に世界のパワーゲームの変遷を辿ると、思わぬ発見が幾つもできました。①プトレマイオスの世界図が1500年近くもヨーロッパのスタンダードであったこと、②プレスタージョンの伝説とマルコポーロのジパング伝説がその後の世界航海のきっかけとなったこと、③大航海時代にスペインとポルトガルが大西洋を勝手に東西に分割支配したこと、④地獄の航海に晒されたマゼランが海図を海に投げ捨て怨嗟の声を上げたこと、⑤ニシン漁がオランダの繁栄を築いたことetc。お薦めします。2013/01/26
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