出版社内容情報
人間の尊厳を取り戻すために裁判を起こした人びとの実録記。歴史を変えた重大事件に関わった著者が明かす感動の舞台裏。
第1話 権力犯罪とたたかった二人の青年
――和歌山大学生「公務執行妨害」事件
事件の発生
事件当日の現場の状況
食い違う警察官の証言
鳥居君は警察官に暴力を振るったのか
山下君は警察官に暴力を振るったのか
真実は何であったか
一時間余の出来事の解明に一〇年の裁判
一歩も引かずに裁判に臨んだ二人
法廷に響いた魂の意見陳述
「どうか幸せな家庭を築いて下さい」
なぜ二人は逮捕されたのか
新たな人生のスタート
第2話 守り抜いたのは憲法の理念
――杉山弁護士接見妨害事件
「指定書がないとあきまへんで」
どうしても面会を拒む警察
暴力で階段からひきずり降ろす
なぜ接見交通が重要なのか
弁護士会が立ち上がる
弁護士が裁判に立ち上がる
予想外の最高裁からの通知
渾身の弁論
最高裁判決をどう評価するか
弁護士が当事者になるとき
「面会切符制」の廃止
第3話 暴力から議会制民主主義を守った市議
――斉藤八尾市議会議員除名事件
荒れ放題の新築住宅
解同による暴力事件の数々…
「市議会で取り上げるな」と全議員を威嚇
殴る蹴るの暴行
解同に占拠された市庁舎
「世にも不思議な物語」
市長がひたすら謝罪
すさまじい除名処分の強要
市が会場使用を妨害
ついに法廷闘争へ
除名処分の効力が停止される
その後のこと
第4話 私たちに青空を
――四日市公害訴訟
町を襲う公害被害
立ち上がる被害者たち
まず弁護士が動いた
裁判で何が争われたのか
勇気ある科学者証人
石原産業前工場長への尋問
原告らの悲痛な訴え
歴史に残る判決
判決後の取り組み
第5話 それでも私は働き続けたい
――日本シェーリング労働裁判
怒りの意見陳述
せめて出産しても働き続けられるように
「八〇%条項」の導入
女性たちが裁判に立ち上がる
「八〇%条項」は公序良俗違反
最高裁でのたたかい
裁判の限界と運動の強化
涙は美しい花に
全面解決に向けて
私たちは大切なものを守った
第6話 『虚構の嵐』に立ち向かった医師
――近畿大学「医療過誤」裁判
輝かしい業績
心臓病患者の手術死
マスコミの攻撃
NHKの特集番組が取り上げる
敢然と立ち上がる
奥のとった法的手続の数々
医療「過誤」裁判に勝訴するまで
「無念さは筆舌に尽くしがたい」
本当の死亡原因を明らかにするために
裁判以外のたたかいの結末
たたかい終えて
奥秀喬の逝去
第7話 美しい島を後世に
――豊島産業廃棄物不法投棄事件
未来に向かって新しい歩み
県が悪質業者に加担――住民の敗北(第一期)
豊島が「ゴミの島」に
壮大なたたかい――住民の勝利(第二期)
真っ向から対立した公害調停
「主戦場は調停・裁判の外にある」
難敵「廃棄物」――県と住民の協働へ(第三期)
よみがえる海と乗り越えねばならぬ「山」
このたたかいは何を残したか
勇気が未来に花を咲かす
【著者紹介】
弁護士
内容説明
人が困難な裁判に臨むとき、試されるのは信念、勇気、忍耐、すなわち人間性である。事件の当事者はいかにして、裁判を乗り越えるのか。歴史を画した数々の事件から、当事者たちの知られざる素朽を描き出す。渾身のドキュメンタリー。
目次
第1話 権力犯罪とたたかった二人の青年―和歌山大学生「公務執行妨害」事件
第2話 守り抜いたのは憲法の理念―杉山弁護士接見妨害事件
第3話 暴力から議会制民主主義を守った市議―斉藤八尾市議会議員除名事件
第4話 私たちに青空を―四日市公害訴訟
第5話 それでも私は働き続けたい―日本シェーリング労働裁判
第6話 『虚構の嵐』に立ち向かった医師―近畿大学「医療過誤」裁判
第7話 美しい島を後世に―豊島産業廃棄物不法投棄事件
著者等紹介
大川真郎[オオカワシンロウ]
1941年和歌山県出生。1964年3月東京大学法学部卒業。1969年4月弁護士登録。1991年4月~1992年3月大阪弁護士会副会長。2002年4月~2004年3月日本弁護士連合会事務総長。2004年4月~2008年3月立命館大学法科大学院特別契約教授。2010年7月~2013年4月日本司法支援センター常務理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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