内容説明
“ばらまき政策”では日本の社会保障は破綻する―世界に例のない少子高齢化時代に直面する課題と矛盾を指摘し、論点を解説する。誰も言わない“福祉破綻”の悪夢。
目次
1章 社会保障の「不都合な真実」
2章 子育て 子ども手当は子どものためか
3章 貧困 社会保障は貧困を減らせるか
4章 年金 年金は本当に大丈夫なのか
5章 介護 「介護難民」はなくせるか
6章 医療 医療を誰が支えるか
7章 社会保障財政 財政破綻は避けられるか
著者等紹介
鈴木亘[スズキワタル]
学習院大学経済学部経済学科教授。1970年生まれ。上智大学経済学部卒業後、日本銀行入行。1998年に退職後、大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了、後期課程単位取得退学(2001年、経済学博士号取得)。大阪大学社会経済研究所助手、(社)日本経済研究センター副主任研究員、東京学芸大学准教授などを経て、学習院大学経済学部経済学科教授。専門は社会保障論、医療経済学、福祉経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kotte
13
制度疲労を起こしている社会保障制度において、不都合な真実から目を背けているという指摘は正しいです。本書に書かれていることが全て正しいとは思いませんが、社会保障制度の持続可能性に疑いがあるのは事実であり、給付と負担の議論がもっと必要でしょうね。2017/06/19
nori
8
I do not agree with author's idea which ignore unequal wealth distribution system. However, big debt has been existed now since this book time 2010. I wonder he can really mention his opposition view to current discussion of helicopter money.2017/08/01
KN
2
読めば読むほどあの世に逝くのが待ち遠しくなってくる。それでも経済学的観点から社会の不合理に切り込み対案を提示していく著者の文章は読んでいて楽しくまた勉強になる。現実には政治と結びついた既得権層の抵抗が強く、社会全体を益するような大胆な改革を行うのは容易ではない。2010年の本書で著者は一番あり得るシナリオとしてIMFによる日本経済改革を挙げているが(国際社会が放ってはおかないため国債暴落まではいかないという)、日銀が事実上の財政ファイナンスを始めた現在では状況はより悪くなったといえる。2017/09/06
koishikawa85
2
この本も結局同じ話の繰り返し。民主党政権下の出版なので子ども手当などについて論じられてはいるが。読み返さず処分。2016/03/21
みぃ姉
2
主に医療保障に興味を持って読み始めた本でしたが、日本の社会保障政策全般が、「労働人口が増え続け、高度成長が続く」という神話に基づいた「問題先送り」システムであることが力説されていました。今すぐにでも「自分たちの貯蓄を自分たちの世代に再配分する」システムに変更する方向に舵を切っていかないと、後の世代に負担が増えるだけだということの意味を突きつけられました。経済について基礎的な理解すらできていない私にもある程度理解できるように書かれていました。2011/01/15