内容説明
永遠の都ローマはきわめて刺激的で、過去のみに生きるのでなく、今もなお私たちに美的、知的経験を与えてくれる。17世紀から18世紀にかけて、ローマを華やかに彩どるバロック様式を生み出したベルニーニ、ボロミーニ、コルトーナらに焦点をあて、彫刻と美術と建築が融合されたこの時代の建築遺産を著者と共に巡り、劇場空間ともいうべき都市ローマの魅力を探る。
目次
1 バロック都市の聖なるネットワーク
2 ボッロミーニとベルニーニ
ピエトロ・ダ・コルトーナ以後
4 十八世紀―劇場空間の構築
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
327
私はかねがねローマは古代と中世、そしてルネサンス、バロック、さらには近現代の建造物の全てを有する世界でも稀有な(あるいは唯一の)重層都市であると思っていた。その認識は今も基本的には変わらないが、本書では教皇シクストゥス5世によるローマの都市計画と、やがて数々の建造物で街を埋めてゆくボッロミーニとベルニーニらによって構築されたバロック都市ローマを描き出す。そしてこれに続くコルトーナやサルディらによって、劇場都市ローマが現出するのである。私たちがローマでなにげなく、ローマらしいと感じる街並みーそれがまさに⇒2022/05/28
TAKAMI
1
カトリックの総本山としての、文化都市としてのローマはどのようにできたのか?バロック都市の特徴でもある「劇場化」をキーワードに、年中人の集まるトレビの泉とスペイン広場の共通点や、巡礼者に対するドラマチックな演出について知ることができる。こうした舞台装置的な演出は、現代まで機能しており、途方もない質の都市政策であるといえる。2013/06/25