出版社内容情報
将来にわたり国全体を魔法の攻撃から守るために、大がかりな術をほどこすことにしたヴァニエル。だが、見えざる敵の密かな攻撃が彼に、そしてヴァルデマールに迫っていた。
内容説明
国王はいまや政務を執るのもやっという有様。人々は、次第に“魔法使者”ばかりを頼り、魔法をもたない“使者”を軽んじるようになっていた。そんな状況に危惧をおぼえたヴァニエルは、将来にわたって祖国を魔法の攻撃から守護するために、大がかりな術をほどこすことにした。だが、見えざる敵の密やかな攻撃がヴァルデマールに迫りつつあった。三部作いよいよクライマックス。
著者等紹介
細見遥子[ホソミヨウコ]
高知大学人文学部文学科卒業、アメリカ文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アイゼナハ@灯れ松明の火
24
〈魔法〉…それは全てを解決できる手段ではなくて。ヴァニエルの本当の功績は、国の為に我が身を投げ出したことよりも、〈魔法〉に頼らず、備わった〈天恵〉を組み合わせ、皆が力を合わせて困難に立ち向かう下地を作ったことなのかも。個人的には、ヴァニエルが斃れた後のステフェンの奮闘と〈使者会〉の建て直しの話も読みたかったかな。いや、終章の雰囲気はむしろ好みなのですけれど…『人々は伝説とは瑕ひとつないものだと思いがちだ』〈魔法使者〉という名の万能感から程遠い苦難の連続だったヴァニエルの生涯。酬われたと思っていいのかな?2012/03/08
nirokuya
8
ラッキー作品は主人公の虐げられる確率がかなり高いなと改めて感じた。ヴァルデマールシリーズの数ある主人公の中でもヴァニエルは断トツで酷い目にあってないか?暗黒公との対決辺りからの後半部分だけでもう一冊あってもよかったなと思うくらい呆気なく話が終わった。虐待、凌辱からの復活まではけっこうじっくり書いてるのにラスボスとの対決シーン少なすぎ!なんとも拍子抜け感が否めない。でもこの物語があったからこそ、ヴァルデマールという国や世界がこの後も続いて行くんだなと思わせるラストは好み。2012/03/27
Dちょ
6
主人公は戦いの最中に死亡することは他の作品でも語られており、その最後となる戦いがではどんななのか、詳細に描かれることを期待しておりました…。触りしかなかったのが残念です。詩人の方の最後を描くことに注力しちゃったのかな。他の方のコメントにもありますが、最後の方がホント細切れのように展開していくのが何とも残念。始まりから中盤までは流れるように繋がるのに、まるで息切れしたかのよう。タルマとケスリーの時代の話で、最後まで綺麗に流れていったのが懐かしいです。2012/03/26
すけきよ
5
ロマンスに対して、暗黒卿への展開がちょっと拙速に感じてしまう。この作者、黒幕との対決がなんかイマイチなことが多いんだよなぁ。毎度ペース配分がよくなく、ラスト近くで息切れしてるように見える。ヴァニエルとステフェンのラブラブな様子は第二部でやって、第三部はヴァルデマールの危機と暗黒卿との戦いをたっぷり描いて欲しかった。作者のBL趣味はいいとして、主人公が陵辱されるの好きね(笑)シリーズを読んできた者にとっては、ヴァルデマール国内では魔法が使えなくなってしまう原因が描かれているのが面白い。2012/02/22
kkef
3
ラッキーは本当に、主人公が寒くて疲れてお腹がすいて一人ぼっちで、なひどい目に遭ってる時ほど筆が生き生きしてるけど、ヴァニエルはシリーズで1,2を争うくらい苦難の人生を送ったんじゃないかと思った。お疲れ様。2012/02/23