出版社内容情報
女を殺しては魔法の力を奪う呪われた大魔道師。目の前で育ての親を殺されたカリュドゥは、大魔道師を倒すべく、夜の写本師の修行を積むが……。本格ファンタジーの新星登場！
内容説明
右手に月石、左手に黒曜石、口のなかに真珠。三つの品をもって生まれてきたカリュドウ。だが、育ての親エイリャが殺されるのを目の当たりにしたことで、彼の運命は一変する。女を殺しては魔法の力を奪う呪われた大魔道師アンジスト。月の巫女、闇の魔女、海の娘、アンジストに殺された三人の魔女の運命が、数千年の時をへてカリュドウの運命とまじわる。エイリャの仇をうつべく、カリュドウは魔法とは異なった奇妙な力をあやつる“夜の写本師”としての修業をつむが…。
著者等紹介
乾石智子［イヌイシトモコ］
山形県生まれ、山形大学卒業。１９９９年教育総研ファンタジー大賞受賞（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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風眠
216
長い時を行きつ戻りつ、何度も生まれ変わっては巡り逢うふたり。出逢っては奪われ、殺される、逃れられない前世からの連鎖。月石、黒曜石、真珠を持って生まれたカリュドゥが、大魔道師アンジストにとってのファムファタールならば、カリュドゥにとってのアンジストは復讐すべき運命の男。この執着と復讐の連鎖を断ち切るため、カリュドゥは「夜の写本師」となる。物語の大半は残虐な殺戮である。しかし、それを感じさせない美しさがある。死の運命から、生の予感へと転ずる終章は見事。ふと見上げた私の夜空。同じ月がある、私の闇も照らしている。2016/05/02
文庫フリーク＠灯れ松明の火
212
【右手に月石。左手に黒曜石。口のなかに真珠。カリュドウは三つの品をもって生まれてきた】ぐいっと引き込まれる最初の四行。エズキウム国の支配者にして最強の魔道師アンジスト。相手を殺してその魔力を奪う《エクサリアナの呪法》で、遥か千年の昔から三人の魔女―月の巫女・闇の魔女・海の娘の命と魔力を苛烈非情に奪う。そしてカリュドウの目の前で奪われる育ての親の命と魔力。復讐するは我に有り―輪廻転生する魂の四代目カリュドウを導くのは『月の書』言葉が言霊になるのなら、羊皮紙に手書きされる文字が魔力を持たぬはずが無い。→続く2012/04/12
ちはや＠灯れ松明の火
146
呪詛と流血を受け継いで夜は目覚める。月石、黒曜石、真珠、託された三つの石は千の年月を越え復讐を誓う魔女の徴。憎悪の赤と悲嘆の青が入り混じる怨嗟の紫の哄笑に、月は穢され、闇は埋められ、海は呑み干された。魔力を失くした虚ろな夜へと示された写本の生業、その指が記す文字に紡ぐ言葉に生命を吹き込む術。奪えども充たされぬ渇望と奪われてより募る怨念、名を変え姿を変えても解けずに縺れあう宿縁を、断ち切るべく。時は廻ると夜の眷族は告げる。月は欠け、闇は薄れ、海は引く、けれども再び満ちあふれる刻は訪れて、夜を護り続けると。 2013/02/04
七色一味
136
読破。なんて魅惑的なタイトル、と思って借りた作品です。そして、予想以上に魅惑的で昏い物語世界に心鷲掴みされました。登場する魔道師は「魔法使い」や「魔女」ではなく、きちんとした「魔道師」だったし、それ以上に「夜の写本師」が魅力的だった。魔道師と言うと『グイン・サーガ』が強烈で、国内ではどうしてもそれが先行してしまっていたので、それ以上の魅力ある魔道の出現は嬉しかった。剣と魔法──。王道ファンタジーの定番に、呪術──符呪術が加わった記念すべき作品です。2013/03/13
財布にジャック
106
実は、前知識０で読み始めたんですが、これってファンタジーだったのですね！序盤は登場人物の名前や物語の設定に着いて行くのがやっとで、楽しむどころではなかったのですが、読み終わってみればなかなか味わい深いファンタジーでした。魔術師と戦う写本師のお話ですが、主人公が写本師っていうところがポイント高いです。本とか文字とかが武器になるって、読書好きには堪らない展開でした。2012/03/15
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- 和書
- くるくるくるくる
