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アーサー王ここに眠る

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  • サイズ A5判/ページ数 372p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488019679
  • NDC分類 K933
  • Cコード C8097

内容説明

ブリテン島、紀元五百年ごろ。ひとりの司令官に率いられた荒々しい騎馬の集団が、館を襲い火を放った。命からがら逃れ出たみなしごの少女グウィナは、奇妙な風体の男にひろわれる。タカのような風貌のその男の名はミルディン。ブリテン島の統一を目指す司令官、アーサーに仕える吟遊詩人。言葉を巧みにあやつり、人々の心を手玉に取る不思議な男。ひとりぼったのグウィナの運命は、その日から一変する。少女の目からアーサー王伝説を語る、心揺さぶる物語。カーネギー賞受賞の傑作。

著者等紹介

リーヴ,フィリップ[リーヴ,フィリップ][Reeve,Philip]
1966年英国生まれ。イラストレーターとして活躍していたが、子どものころに読んだ『指輪物語』や“ナルニア国物語”が忘れられず、自らも創作の筆をとる。処女作『移動都市』(創元SF文庫)が大評判になり、英国のネスレ・スマーティーズ賞などいくつもの賞を受賞。4作目A Darkling Plainで見事ガーディアン賞に輝いた。さらに『アーサー王ここに眠る』がカーネギー賞を受賞したことにより、名実ともに英国を代表する児童文学の書き手となった

井辻朱美[イツジアケミ]
東京生まれ。東京大学人文系大学院比較文学修了。現在白百合女子大学教授。著書に『ファンタジーの魔法空間』(第27回日本児童文学学会学会賞受賞・岩波書店)。訳書も多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

52
伝説ではないギネヴィアとランスロットの不倫、聖杯を手にするパーシヴァルの生い立ちが描かれフィクションの存在であるグウェンドリンが絡んでいく。場合によって男となったり女となったりする便利なグウェンは奥方の宮廷に入り込むことも戦場に赴く事もできる。本来の意図を越えて運命は動き出す。他の登場人物達の運命と同じように。伝説なんてどこ吹く風だったアーサーが最後に伝説を生かすために為した事や、“鷺のような人”とグウェンに称されていた典雅な奥方に秘められていた情熱などアーサー王伝説でお馴染みの人々が皆人間臭くて面白い。2019/11/12

たま

51
読友さんに教えられた本。子どもの頃アーサー王伝説はあまり好きじゃなかった。多分、金髪美人礼賛に胡散臭い超自然のせいだったと思う。この本ではミルディン(魔法使いマーリン)の物語論が胡散臭い超自然をやすやすと吹っ飛ばし、従者の少女が少年になったり少女になったり(あくまでも普通の少女で月経もあり、超人的な力を発揮したりはしない)することで、騎士物語の強固なジェンダー観を軽々と乗り越える。彼女と一緒にリアルな冒険をしながら、積年の疑念が氷解し、快哉を叫んだ。カーネギー賞受賞も納得の快著。2022/04/02

すけきよ

18
物語の力を描いたファンタジーであり、ファンタジーが紡ぎ出されていく様子を描いた物語。山賊に毛が生えた程度のアーサーに対して、人々は好感を持っていない。しかし、ひとたび、吟遊詩人が着色するや、全てが幻想に彩られた冒険譚として上書きされていく。この読者の印象さえも操る物語化が見事で、多少なりともアーサー王伝説を知っているのなら、後にエピソードとして織り込まれていく出来事を目撃し、心揺さぶられる。物語の力を利用しながら、物語自体は信じていないミルディン。そんな彼が、物語の力と真実の間で最後に語る物語が感動的。2009/11/18

なつきネコ@中学入学した化け猫

14
史実のアルトリウスをアーサー王伝説へとつなげていく話。ある程度アーサー王伝説の内容を知っていると楽しい。登場する彼らが伝説の誰か。物語の役割と分解し分配しているのが上手いな。少女のグウィーナだけが真実を知りながら物語の効力はスゴい。事実は鮮やかでも何でもないはずなのに、ミルティが語りだすと鮮やかな話へと変わる。アーサーがカリバーンを手に入れる経緯は有名な場面だからこそ、歴史の真実を見てるようで良い。グウィーナとペレドゥルの女性と男性の間を行き来する設定も見事。何も知らないペレドゥルは男の娘の可能性をみた。2019/02/05

TERu☆

14
偉大なアーサー王の伝説・・・ではなく、ちょっと残念な盗賊まがいの騎士団の族長アーサーの話し。 アーサーをブリテンの王へとでっちあげようと吟遊詩人のミルディンは各地をまわり、多少の嘘や話しを誇張して、偉大な領主へとしたてていく。 ドラゴンや魔法、伝説もこうして人が作りあげていったのかな・・・!? っと妙に納得してしまう一冊。2013/04/04

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