出版社内容情報
澁谷 知美[シブヤ トモミ]
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清田 隆之[キヨタ タカユキ]
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内容説明
「非モテ」の苦しみ、マウント合戦、男のカラダ、男性優位社会…。6人のゲストと語り合って見えてきた、男たちの「現在」と「これから」!
目次
第1章 「男子バキバキ脳」からの脱却―「自分の身体はこういうものを喜ぶ」を知ろう
第2章 「非モテ」の諸相と、「これから」のこと―自己否定でも開き直りでもなく自分を「開く」語りの可能性
第3章 男性性と暴力―コミュニケーションに潜む加害と被害の両面から考える
第4章 男性が乱用しがちな「構造的な優位」とは?―その「優位」を利用しない手立てを考えよう
第5章 「誰でも差別し得る」という出発点―「男性中心社会」日本と性的マイノリティ
第6章 すぐそこにあるマチズモ―あの手この手で「マッチョ連合」を突き崩せ!
著者等紹介
澁谷知美[シブヤトモミ]
1972年、大阪市生まれ。現在、東京経済大学全学共通教育センター教授。博士(教育学・東京大学)。ジェンダーおよび男性のセクシュアリティの歴史を研究
清田隆之[キヨタタカユキ]
1980年、東京都生まれ。文筆業、恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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katoyann
26
男性性を研究している学者やコラムニストをゲストに招いて、座談会形式で男性ジェンダーの問題に迫った本。近年では、「男性もジェンダーに縛られて苦しい」という従来の男性学の主張に加え、男性の加害者性に着目して、男性性を反省的に捉える研究が増えつつあるという。本書では、いわゆる非モテ男性が縛られている男性性規範の問題やDV加害男性の問題、あるいは性的マイノリティに対して差別的な男性の問題など、幅広く男性の問題を検討している。因みに煽り運転の加害者の96%は男性(武田砂鉄)であるという。面白く読めた。 2022/10/01
道楽モン
21
敬愛する社会学者・澁谷知美さんがホストの対談集。ジェンダーの視点から語られる「男性優越(マチズモ)」に溢れる社会構造の問題点をあぶり出している。どっぷりとその中で生きている私自身も、何の疑問もなくぬるま湯的価値観に洗脳されまくっていることに気づき、考えること多々。社会構造を背景にした「空気」と、個人的な男性性への依存。この両面から認識を改める必要がある事が、否応無く突きつけられるので、男性は心して読みましょう。DVもミソジミーも非モテも、その根底はホモソーシャル的価値観を検証することが必要なのだ。2022/10/28
たいこ
18
武田砂鉄さん編は面白く読んだ。武田さんの言葉は彼が毎日の生活の中で普通に感じていること。ジェンダーの問題やいろいろな差別、権力、支配の問題はそれ以外の物事と同じように日常の中にあるのだということがわかる。それ以外の方々は専門家だからなのか、読んでいるこちらがどんどん追い詰められていく感覚もあり疲れてしまった。内容的には解放を感じてもおかしくないはずなのに。大人になってから改めて考えるから疲れてしまうのかも。このような内容を子どもの頃から当たり前に学んで自然な感覚として身につけられたらいいなと思う。2022/09/28
itokake
17
6名の研究者や書き手が、男の諸問題について語った本。平山亮と武田砂鉄が面白かった。平山氏「男らしさから降りさせてもらえないという男性は、マジョリティの責任逃れ」と一刀両断。武田氏のマチズモからみたオジサンたちの行動分析にいちいち納得。自分の話か、「会社が」「社会が」と大きな主語で話すオジサン達、いるいる!複数の話者が共通してあげる「いじり」に代表される男同士のコミュニケーション。これは女性でもある。私はいじりが苦手なので、聞くのも参加するのも距離をとる。いじりは悪ノリだし、本質はいじめと同じ。2022/11/06
タナカとダイアローグ
16
男性優位な社会に対して異議するフェミニズムの隆盛とともに、「男性性ってなんだっけ?」を解明していくことで、じつは男性が望んでいる世界ではないことに気がつく。マッチョな社会が嫌な身として、ジェンダーにまとわりつく残酷さを減らしたい。男性優位な構造に甘んじている人は、気づかないふりをして秩序を再生産する。一方、この構造に恩恵を受けている人は、女の敵となる。「男らしさから降ろさせてくれない」嘆きの分析から、男・女、個人・社会、願望・規範など、自分ごととして納得できるようになりたい。Podcast心の砂地きっかけ2024/08/30