内容説明
現代社会における思想・文化のさまざまな分野から注目をあつめている空海の雄大な密教体系!開かれた密教を念願する空海研究の第一人者が、長年の研鑽をふまえて、平易に空海の生涯と思想を浮彫りにする最良の入門書。1章では、日本仏教史における密教の位置づけ、最澄との交流からみた空海密教の立場と特質など。2章では、文化人としての空海の全軌跡を絵巻のストーリーから、また恵果との出遇いや綜芸種智院の教育活動など。3章では、空海の著作を読む場合の手引きなど。4章では、空海ゆかりの高野山と四国八十八ヶ所霊場を紹介する。
目次
1 空海の生涯と思想(日本仏教史上における空海;空海の生涯と思想;空海の教え;空海と最澄―その思想と交流の軌跡;現代思想史上の空海;綜合の天才・空海;空海の思想と現代)
2 文化人としての空海(空海の軌跡―『弘法大師行状絵詞』にそって;恵果との出遇い;空海とその周辺;空海の教育理想)
3 空海の著作を読む(空海の名著;『秘蔵宝鑰』について;永遠への飛翔;空海の言葉をたどって;空海の密教用語について)
4 空海の聖地(霊場・高野山;空海と四国の聖地)
著者等紹介
宮坂宥勝[ミヤサカユウショウ]
1921年長野県に生まれる。1948年東北大学文学部印度学科卒業。同大学大学院修了。高野山大学教授、名古屋大学教授を歴任。文学博士。名古屋大学名誉教授。1999年真言宗智山派管長・総本山智積院化主に就任
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
10
六宗は、三論・法相・華厳・俱舎・成実・律(018頁)。満濃池修築(051頁~)。綜藝種智院開設(053頁)。如来の三摩耶身(069頁)。庶民は空海のことを、大師と通称していた(094頁)。曼荼羅の世界は、秩序と調和、独立と共存の原理が表現されている(112頁)。鶴見和子先生の藤原書店の本にも出てくる曼荼羅の不思議。綜芸種智院は、都の中にありながらも、閑寂(183頁)。現代の市民大学院のような感じかもしれない。特徴は、機会均等、綜合教育、完全給費制(185頁)。高野山は文化財の宝庫(271頁)。尊敬の大師。2013/08/22
ふたば
4
映画も公開されるとあっていろいろホットな空海。どうしてもオカルトチックな部分がクローズアップされがちだが、文化的にも、教育者としても、もちろん密教の第一人者としても、その存在を足跡として、現代にいたるまで確実に残している。特に教育に関する見識は、そのまま現在に持ってきて何の問題もない。素晴らしいと思う。仏教や密教に関しては、自分に知識がなさ過ぎて、少々難解だった。先に読んだキリスト教関連の書籍もそうだったが、知識がないと理解が及ばず、せっかく読んでも面白さが半減してしまう。基礎知識の重要性を再認識した。2018/01/13
Go Extreme
2
空海の多面的存在: 弘法大師・庶民に親しまれた仏者・文化人 教え=密教の深遠さに根付く・密教が全仏教を包含するという立場。 空海の生涯→日本文化の形成に重要な役割 密教の現代的意義: 現代においても重要な思想的資源 近代合理主義や科学万能主義に対抗する形で空海の思想が再評価 空海の教ー倫理的、宗教的、哲学的な観点から現代社会における問題解決の手助けとなる可能性 民間信仰と文化的影響: 空海にまつわる民話や伝説→語り継がれ信仰を集める 生涯や業績→さまざまな文化的活動に影響→現代のアートや文学に痕跡見られる2025/01/15
章魚 たこ
2
難しいです。意味も理解できません。でも、ともかく読む読む読む・・・ことで、空海の本質を垣間見る?というか、そんな気になってみたい。2023/08/09
ハヤカワショボ夫
0
空海学重鎮宮坂氏による本。空海密教の体系で第1章「日本仏教史における密教の位置づけ」第2章「文化人として空海の全軌跡を絵巻のストーリーからまた恵果との出逢いや綜芸種智院の教育活動など」第3章「空海の著作を読む場合の手引きなど」第4章「空海ゆかりの高野山と四国八十八ケ所霊場の紹介」を雑誌等に寄稿されたエッセーを集め描かれいます。空海という存在自体が大曼荼羅でありその存在形態の種々相は三昧耶曼荼羅であり文化活動は法曼荼羅であり社会活動は羯磨曼荼羅そのもので有相・無相があるが全てが密教の実践行である。【家】★☆2015/08/21