ちくま文庫<br> ヒューマン・コメディ

ちくま文庫
ヒューマン・コメディ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 274p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480027641
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

第二次大戦下のアメリカ、カリフォルニア。マコーリー家では父が死に、兄も戦場へ向かった。家のために、十四歳のホーマーは電報配達の仕事を始めた。働くことは新鮮で楽しいけれど、戦死の報を届けるのはあまりにも心が痛む。ある日、兄の戦死を知らせる電報がホーマーの手に渡されて…。きびしい現実に身をさらしながら大人になっていく、少年期のせつなさ、いとしさを描くサローヤンの代表作。改訂版による新訳。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

115
カリフォルニアを舞台にした十四歳の少年が主人公の物語。父が死んで、兄が兵隊にとられたので、ホーマーは電報配達の仕事を始める。瑞々しく、優しい物語で読んでいると、心のしこりがほぐれてくる。いろいろな事があっても、人間の本性は善であるという作者の姿勢に心を打たれるのだ。それでも、戦争や人種差別に対する強い怒りは表現されている。物語の最後は出来過ぎだと思うが、サローヤンらしいヒューマニズムを感じた。孤独な兵士がイサカの町で幸せになって欲しいと思う。2016/09/09

風に吹かれて

16
①1943年発表作品。  第二次世界大戦が闘われているアメリカのカルフォルニア州イサカ市。十四歳のホーマーは電報配達の仕事を始めた。戦死の報を届けることもある……。四歳の弟と少し知的障害がある少年の無垢な友情、近所に住んでいる元気のいい少年たち、取り巻く大人たちの互いを思いやる優しさ。界隈に住む人たちの温かさが守る田舎町。ときに封建的で現代では違和感がないではないところもあるが、厳しい現実の日常を朗らかに生きる人々の姿が胸を熱くする。  2021/02/27

嫁宮 悠

3
我々は多くのことについて知る機会を得たが、それらについて考えることをあまりしない。毎日のように報道される不愉快なニュース、戦争、死、人々の闇、そして自分自身の限界といったもの。それらを知ることが、大人になるということなのだろうか。いや、そうではなく、良いことも悪いことも、知るだけではなく理解すること、現状を受け入れること、人を信じること、それが重要なのだ。そんな当たり前のことを教えてくれる本。少年時代の記憶と共に語られる、温かい人たちと、ほろ苦い現実が織りなす人生劇のタペストリ。2018/07/05

ミコヤン・グレビッチ

2
父親を亡くし、長兄も徴兵されて、家族を支えるため、放課後に電報配達員として働く14歳のホーマー・マコーリー。最後は家族にとって悲劇的な知らせが、その電報で伝えられるというストーリーだが、そこには英知と慈愛にあふれる家族とコミュニティの支えがあれば、そんな世界でも人はまっすぐ生きて行けるというメッセージが込められている。登場人物の心性が揃いも揃って高潔で、キレイすぎる話に物足りなさを感じる向きもあるかもしれない。それでも、特に若い人には一読を勧めるし、自分でも定期的に再読したくなるような物語だった。2020/03/02

ハルトライ

1
サローヤン自身が気にしている通り、確かに戦争に関して、妙に感傷的なところがあってそこが余計なのだけれど、全体的には非常に良く少年の日常を丁寧に描き出していて、良い出来。2016/04/29

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