内容説明
現代の物理学で特に注目すべきことは、この世界で一番小さな物体と一番大きな宇宙とが密接に関係しているという点である。本書は、現代の素粒子物理学と宇宙物理学の最近の発展をまじえて、少しずつ明らかにされた物質の基本要素の姿を分かりやすく紹介する。本書はまず、チャームウォークの発見というエキサイティングなドラマから始まる。続いてクォークと他の基本的な粒子を紹介する。そして4つの基本的な力とその効果について述べていく。次に興味を転じて、全宇宙で最も小さい粒子を検出するための巨大な検出器に目を向け、非常に高いエネルギーを持つ粒子が衝突する時に、一体何が起こるのかについて示そう。次に宇宙論について論じ、素粒子物理学の歴史を語る。現代の素粒子物理学において起こった様々な出来事の歴史をひもとくと、それは進歩の過程だけではなく、失敗の歴史でもある。そして正しい新しい考え方でさえも、単なる推測が定説になるまでにはいかに少しずつ進歩してきたのかがわかる。素粒子についてはじめて学ぶ読者にも配慮した、ミクロとマクロの世界への入門書である。
目次
第1章 11月革命
第2章 標準模型の手掛かり
第3章 フレーバーの不思議
第4章 力を担う粒子
第5章 起こり得る事は何でも起こる
第6章 精密な検出器が偉大な発見を生む
第7章 非常に高エネルギーな衝突をつくる
第8章 最小の世界と最大の世界:宇宙物理学と素粒子物理学との出会い
第9章 標準模型の現状
第10章 素粒子物理学の歴史的展望
著者等紹介
守谷昌代[モリヤマサヨ]
東京工業大学大学院博士課程修了、理学博士。専門は宇宙線実験(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。