出版社内容情報
ベネデット・クローチェ[クローチェ]
著・文・その他
上村 忠男[ウエムラ タダオ]
編集/翻訳
内容説明
革命の書か、反動の書か。毀誉褒貶相半ばした“新しい学”へやがて結実するヴィーコの認識理論と自身の“精神の学”との思想的対話を重ね、真理をめぐる神学と数学の交錯を解きほぐす。いまなお比類なき実証性と独創性を誇る先駆的研究のエッセンスを集約。
目次
第1章 ヴィーコの生涯と性格について
第2章 ヴィーコ認識理論の第一の形態
第3章 ヴィーコ認識理論の第二の形態
第4章 ヴィーコ認識理論の源泉
著者等紹介
クローチェ,ベネデット[クローチェ,ベネデット][Croce,Benedetto]
1866年、イタリア生まれ、1952年歿。哲学者、歴史家
上村忠男[ウエムラタダオ]
1941年、兵庫県生まれ。東京外国語大学名誉教授。学問論、思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てれまこし
8
ほぼ忘れられていたヴィーコの再評価のきっかけになった書。創造者たる神だけが万物の十全な知識をもちえるという古い考え方から「真なるものとはつくられたものである」という豊かな認識論を導き出したのがヴィーコの業績。人間が完全な知識を得ることができるのは数学でも自然学でもなく、精神が精神の産物たる歴史的・文化的なものを対象とする学問においてであるとして、歴史的なものを科学の対象としては除外したデカルト哲学に対して、かえって人文学の優位が説かれることになる。だから19世紀の精神・文化科学の先駆という評価につながる。2022/08/27