出版社内容情報
聖書につぐ、全世界で最も愛読されている名著の全訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
95
私は宗教はあまり信仰していないのですが、宗教に関する書物は聖書や仏教関係のものをかなり読んできています。この本は聖書を読んだ人のためのものと思われます。ある人物が様々な経験をしながら高みに上っていく様子が描かれています。聖書からの引用も多く、注釈としてどこからの言葉かも書かれていて参考になります。また木版画も挿入されいます。2025/11/14
マウリツィウス
22
【『天路歴程』】「新約聖書」の紡ぐ挿話を語るジョン・バニヤン、古典主義における神話主義を確立しただけではなく「本質」つまりルイス以降の文明史論述を求めていくのだろう。古典主義ではなく新約主義、英文学史上における聖書総覧をミルトンとの共鳴により導き出した功績は大きい。カール・バルト/アウグスティヌス/使徒パウロ書簡の円環を紡ぐ講解記録、『天路歴程』=『失楽園』再臨世界、よってバニヤンは神学史世界を再記録させていく。C.S.ルイスの求めた「救済」はここにも生き続けた。無神論/汎神論に終りを告げる。:使徒ヨハネ2014/02/15
Miyoshi Hirotaka
17
プロテスタント世界で最も読まれた本。『若草物語』では四姉妹が、父親が従軍牧師として南北戦争に出征中に『天路歴程』ごっこに興じ、マーチ夫人が遊びを通じて現実の生活を善良さと幸福を求める巡礼に例えるよう姉妹を導く場面がある。基督者が信仰者、饒舌者等と出会い、滅亡の市や落胆の沼等の困難を乗り越え、天の都を目指す巡礼の旅。人名や地名が行動、感情、概念で表現されているのが特徴。聖書からの引用が随所にあり、ナラティブとして聖書の世界観や価値観が身につく宗教書であると同時に近代英文学の元祖で、現代作品にも影響している。2025/11/20
マウリツィウス
16
【講解書の名は歴程】バニヤンの天路歴程は迷妄とされた旧約聖書信仰=旧教残存を物語図式化し象徴化した方法論も兼ね、その性質に則った伝説は聖人崇拝批判も実質含める。つまりルター『自由』の図像解釈版とも定義可でありシェイクスピア英文学のルネサンス起源を批判し尽す。ミルトン同様反証を明示した点で実に対抗信仰を明確に示した新教神学書の一分類で、プロテスタントの啓示は聖書資料に該当しない外典文書を除外排斥しギリシャ幻想を駆逐、文学の特異性を聖書を始点に据えた告白録にして信仰問答、基準書、講解、実側面と美的側面が共存。2013/05/28
マウリツィウス
15
【新約聖書「外典」補遺】バニヤンの歴程とは新約聖書の求道した信仰ヴィジョンを異なる様相へと変えた異端との対立を緩和してきた優しい心、カフカの本来持ち合わせた厭世観とは違い、新約=従来西洋遺産を求める誠実がたとえ人を犠牲にしてでも、或いは自分を犠牲にしてでも成したいこと、それこそが外典資料を補足する形式の「歴程」、信仰者が殉教者である事実を暗示/明示した「信仰改革」=ルターの改変項目は清教徒として信仰を変える意思と覚悟、信仰と葛藤と殉教を必然に孕む「改革」成さねばならないこととは外典との共存を滅する決意項。2013/06/01




