内容説明
改元の気分いまだ新たなる昭和2年3月14日、大蔵大臣の失言が日本を震撼させた。「今日正午頃に於て渡辺銀行がとうとう破綻をいたしました」没落した銀行家一族の歴史を掘り起こし、昭和史の原点「金融恐慌」の教訓を現代に問いかけるドキュメント。
目次
1章 昭和2年3月14日
2章 絵筆を握る経営者(専務、渡辺六郎;倒産後、名を改める)
3章 先祖の墓前で死にたい
4章 いくつかのイフ
5章 蔵相答弁の顛末
6章 「賢兄愚弟」か「愚兄賢弟」か(大阪財界を牛耳った片岡兄弟;渡辺家の「変り種」勝三郎)
7章 片岡直温の覇心
8章 政友会と憲政会(福沢桃介の金子直吉評;田中義一の違約)
9章 渡辺一門、栄華の夢(武藤山治の「政商」批判;「辛辣険峻」な吉植庄一郎)
10章 銀行家の責任
11章 狂乱の春
12章 その後の東京渡辺銀行
13章 かつて「渡辺町」があった(先祖は塩物問屋、明石屋治右衛門;九代治右衛門と串田孫三郎)
14章 金融恐慌と現在(サラ金の簇生を生んだもの;山一証券救済との比較)