内容説明
ヴェーダとは、古代インドの僧侶階級バラモンが生み出した宗教聖典の総称である。紀元前一二世紀ごろに成立した膨大なリグ・ヴェーダは、インドヨーロッパ語族最古の詩文で編まれた神々への讃歌集であり、その神々は意外なかたちで日本人にも馴染みとなっている。本書はこのリグ・ヴェーダから、呪法を取り扱うアタルヴァ・ヴェーダ、祭式文献ヤジュル・ヴェーダ、サーマ・ヴェーダさらに梵書、森林書を経て、インド最初の哲学書ウパニシャッド文献に至る古代インドの思想の流れをたどる。その後インドに展開した諸思想は、このヴェーダからウパニシャッドに至る思想をどのように評価するか、という観点から大きく二つに分かれた。それを聖典と認めるのがバラモン正統派思想であり、その聖典性を否定する立場で成立したのが仏教やジャイナ教であった。インドに生まれた思想を理解するためには、ヴェーダを淵源とする思想の流れを知る必要がある。
目次
第1章 リグ・ヴェーダ
第2章 アタルヴァ・ヴェーダ
第3章 サーマ・ヴェーダ
第4章 ヤジュル・ヴェーダ
第5章 ブラーフマナ(梵書)
第6章 アーラヌヤカ(森林書)
第7章 ウパニシャッド
第8章 (付論)祭式
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
in medio tutissimus ibis.
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ヴェーダからウパニシャッドまでの思想の流れを追うのだが、この思想というものには今日意味するような哲学のみならず、呪術的なそれも含まれる。ウパニシャッドが「梵我一如」を唱える時、その哲学を理解することは(賛同するかはさておき)現代人にも容易だが、そうした明知を得ることで不死(解脱)に至れるという思想は理解しがたい。そこには、対象についての知識を獲得することが知識の対象やその支配権の獲得と同値である、という古代的な呪的観念が存在するからだ。そうした呪的観念はおそらく仏教のような他の思想にも通底しているであろう2022/08/04
しく
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入門レベルですがインド哲学の教本の体系的な把握をするのに便利です。ジュンク堂で買おうと思ったら在庫が無く取り寄せにさせられました。良い本だと思うんですけどねぇ。2008/12/11
3000
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初学者の知的好奇心に対して誠意を持って書かれた入門書でした。随所に散りばめられた引用に魅了されました。インドの古典をより深く学びたいと感じています。2013/04/15
姉勤
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太陽が死の象徴って観念は以外。2012/11/09