内容説明
パウルはお使いに行くとちゅう、不平たらたらでぼやきます。「こんな寒い日にも、ママはぼくを買いものに行かせる。おなかの赤んぼのせいだ。かがむと苦しいといって、そうじまでぼくにさせる。ぼくが、ママのおなかにいたときには、手伝いをさせるぼくはまだいなかったのだから、こんどだってぼくなしでもすむはずなんだ」せめて、ガールフレンドのリキにぐちを聞いてもらいたいと思っても、リキは近ごろ、なぜかパウルに知らん顔をしています。やれやれです。
著者等紹介
シンドラー,ニーナ[Schindler,Nina]
1946年生まれ。家族と共にブレーメンに住む。長年の教師生活をやめてまもない1992年、デビュー作の『インプット』を発表して本格的な文筆業にはいる。それ以前の20年間も、ドイツ語圏における児童文学誌のライター、批評家、文学賞の審査員など、常に本と関わりをつづけ、現在は作家・翻訳家として活躍中。数多く発表している作品も、児童小説だけでなく、ヤングアダルト小説、一般向けの長編読み物と幅広い
松沢あさか[マツザワアサカ]
1932年、愛知県生まれ。名古屋大学文学部文学科(ドイツ文学専攻)卒業。訳書に『空白の日記』『ウルフ・サーガ』(共に福音館書店)『ウーヌーグーヌーがきた!』『耳の中の小人』『アンネがいたこの一年』『絵で見るある町の歴史』(共にさ・え・ら書房)など
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感想・レビュー
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フェアリー
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パウルは、母親との二人暮しだった。父親とは、まだ小さい頃に別れていた。一年半前、ママの新しい恋人ベルントが家にやってきた。今度は赤ちゃんが生まれるというのだ。嬉しくないどころか、迷惑な話だ。 ベルントとパウルでサイクリングにでかけた。そこで「できあがっている家族のなかに、思いきって父親としてはいれて幸せだよ!」と言われとても嬉しかった。一人の家族として意見を求められることがパウルにとっては、何よりもうれしかった。その時どきに子どもの意見を聞いているかということが、とても大切なことと教えてくれる。 2011/09/19