内容説明
夏は、あの世とこの世が、ほんのすこし近くなる。山奥の暗闇、底知れぬ水際、心を焦がす炎、龍の舞う嵐…。現実がゆらぎ、常世とまじりあう不思議な場所で、めぐる生命を統べる偉大な山の主たちと出会い、少女の世界は輝きと深さを増してひろがっていく。山人の孫娘が綴る、ひときわあざやかな季節の物語。
著者等紹介
六条仁真[ロクジョウヒトマ]
香川県生まれ。広島大学文学部卒業。2006年「あばよ!とココロは目をとじた」で日本児童文芸家協会第12回創作コンクール幼年部門佳作入選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ままこ
69
夏は、あの世とこの世が、ほんの少し近くなる…。山人奇談録続編。「黄泉」の話は怖いんだけど優しい。あれがぷかりと浮かぶ姿はなかなかシュール。「星犬」ヌシのあり方も色々。ショコがどうなることかと思ったけど、こういう柔軟なあり方はいいな。ヌシたちの命の終わりを受け入れる姿は潔く気高い。「魔炎」恐ろしいモノだったけど、切なく哀しいモノでもある。「竜宮」“あたし”の魂に刻まれた厳かで清々しい貴重な幻想的体験。「花幻」じいちゃんが内緒で出かけた先には…。浮かび上がる儚くも美しい情景。瑞々しい感性に彩られた夏の奇談。2024/08/05
小夜風
22
【図書館】「山人奇談録」続編。先の「山人奇談録」は春夏秋冬と四季を巡るお話でしたが、こちらはひと夏のお話でした。素敵だった~♪怖い描写もありましたが、じいちゃんが飄々としているので、こういうこともあるのかも…なんて思えました。それにしても、友だちとかの名前は出てくるのに「あたし」の名前がとうとう最後まで出てこなかったのが、また不思議でした。折しも今日は台風…本当に龍が飛び回っているのかもですよ?明日晴れたら「ああ、秋が来ますね」と、私も呟いてみたい。2014/08/10
花林糖
19
「山人奇談録」続編。巫女のヨリエさんが今作は良い味出してます。夏の終わりに読みたかったけれどギリギリセーフかな。川の中でぷよっとした物は絶対に踏みたくないです......。連作短編5話<黄泉・星犬・魔炎・龍宮・花幻>2017/09/07
深青
14
シリーズ2作目。今回も良かった。読んでいるとこちらも山の不思議な雰囲気に飲み込まれてしまいそう。美しくそして怖い。そんな山の魅力に溢れているお話だと思う。どのお話も良かったけれど「竜宮」が一番ワクワクドキドキして好き。2015/06/28
chatnoir
10
1巻目より、怖い話が多かった。あの世とこの世の境目かぁ。その風景が想像できて怖かった。ひづめも女がなる可能性があると思うと怖いよね。そして、ヌシの話と竜の話は壮大でした。あぁ、アニメで見たいな。そして、じいちゃん、素敵。亡くなった奥さんをずっと思っているんだね。2016/06/14