出版社内容情報
ベストセラー『アリス殺し』の著者が満を持して放つ、超絶アクロバティック・ミステリー!
内容説明
街いちばんの名探偵の元には、奇妙な依頼人ばかりがやって来る。熱狂的ファンの中年男に、執拗に真似をされる恐怖を語る人気アイドル。(「アイドルストーカー」)何者かに太る薬を盛られていると訴えるダイエットマニアの女。(「ダイエット」)事務所から一歩も出ないものぐさな探偵の推理とは?全編に仕掛けられた巧妙な罠と黒い笑い。奇才が放つ連作ミステリー。
著者等紹介
小林泰三[コバヤシヤスミ]
1962年京都府生まれ。’95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。以後、先端科学知識とグロテスクなホラー描写の融合した小説を数多く発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
だんじろー
85
どうしてこんな奇抜な話が次から次へと出てくるのでしょうか。このぶっ飛んだ発想が病みつきになる所以でしょう。90%が会話文というスピーディーさも、とぼけていて粋な味わい。深読みすればいくらでもできちゃう面白さ。油断させておいて、最後に明かされる安楽探偵の“素顔”がまた嬉しくなるほど不敵で憎らしい。2017/10/14
yukaring
75
街いちばんの名探偵の元に持ち込まれるのはどれも風変わりで一筋縄ではいかない事件ばかり。奇妙なストーカーに恐怖するアイドルや「私は人を消せる」と豪語する女性、何者かに太る薬を盛られていると訴える女性やレストランで行方不明になった女児。事務所から一歩も出ないものぐさ探偵の推理は今日も冴え渡り、快刀乱麻に奇妙な謎を切り崩していく。どれをとっても後味のよくないブラックさがなんだか不思議にクセになる連作短編集。読み進めるうちにジワジワと感じる違和感が積み重なり、意外すぎる結末に繋がる巧妙な仕掛けは小林さんの真骨頂。2023/06/26
さっちゃん
69
事務所にやってきたクセのある依頼人の話を聞いて、探偵が事件を解決する安楽椅子探偵モノの連作短編集。 依頼人もクセがあるけれど、この探偵もなかなかクセのある人物で、こねくり回した会話の応酬にニヤリとさせられる。 最終話ですべての事件を振り返ると・・・スッキリ読了! 必ず順番にお読みください(^-^)/2019/08/20
ひさか
67
Web光文社文庫2015年8月号〜12月号に連載された4篇に書下ろし2篇を加えて、2016年2月に刊行。文庫オリジナルの連作短編6話。小林さんのミステリーですから、何かあるとは思っていましたが、楽しい論理の世界を堪能しました。最終話のモリアーティときたら、ハラハラドキドキまでしてしまいました。事件に意味が無いところが特徴だと思いますが、愉快犯的なモリアーティというのが、真相なのかも。2016/03/30
ちーたん
56
★★★☆☆タイトル通り、依頼人の話を事務所で聞くだけで事件を解決してしまう安楽探偵の6つの話。依頼人がとにかく思い込みの激しい不思議ちゃんばかりw一貫してほぼ会話形式のみで展開されるため、読みやすく、事の顛末を自分も安楽探偵として予想しながら読む感じ!最終話となる話は趣が一転し、それまでの事件が振り返られる。本書の読者への真の仕掛けはここにあったのかなと感じた!(ほとんど気付いてなかったw)独特の小林ワールド感、堪能出来ました!2018/12/13