内容説明
天皇陛下のおことば、ITと広告をめぐる言説、野球とサッカーが辿った道…。茫洋として語り得ない「平成」の形を同時代に語られた「ことば」をもとに探っていく、「令和」の時代に捧げる極私的平成論。
目次
第1章 平成と「わたし」(昭和と野球;昭和63年の野球;平成の野球とサッカー)
第2章 平成と「おことば」(語る天皇;天皇陛下の「おことば」の歴史;「おことば」への自覚;天災と天皇)
第3章 平成と「広告のことば」(『広告批評』の終わり;『広告批評』ベストテンに見る「働き方」;変わらないCMと変わらない「平成」;そして「広告」も「批評」も消えた?)
第4章 平成と「インターネットのことば」(「ナナロク世代」と平成;“ひろゆき”のロジック;“ひろゆき”とは)
終章 平成の「ことば」から「私社会学」へ
著者等紹介
鈴木洋仁[スズキヒロヒト]
社会学者。東洋大学グローバル・イノベーション学研究センター研究助手。1980年東京都生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(社会情報学)。専門は歴史社会学。2004年京都大学総合人間学部卒業後、関西テレビ放送入社。報道記者として勤務。2010年ドワンゴに転職ののち、2011年に東京大学大学院修士課程に進み、国際交流基金、東京大学等での勤務を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hk
17
僭越ながら私見を開陳させてもらおう。昭和とは「難解な言葉で、解りにくい」時代だった。翻って平成とは「簡明な言葉で、より解りにくい」時代となった。象徴的なのがまさに象徴天皇の言葉遣いだ。昭和天皇のお言葉は格調高すぎて世俗的ではない。当然庶民にはまるで伝わらない。これは岩波朝日をはじめとする昭和の活字メディア全般にも敷衍できる現象だ。かたや平成天皇のお言葉は一言一言平明であり一般向けにかみ砕かれている。だが文脈をとることは昭和天皇よりも難儀である。これは「政治的発言をしてはならない」という制約のなせるわざだ。2019/08/07
みこ
11
平成を言葉で振り返るという本だが、軽く肩透かしを食らう。平成天皇論に関しては原武史氏の名著を読んだ後だと軽くて浅い印象。広告がシリーズものばかりになってしまったのは連ドラが医療物・刑事物ばかりになってしまったことと通じるかもしれないのでこれについては慧眼だと思う。最後に選んだテーマはネットかと思いきやなぜかひろゆき氏について。しかも半生を細かく描く丁寧っぷり。全体的に狭くて浅い本だなという印象。2019/08/18
Go Extreme
1
平成と「わたし」: 昭和と野球 野球という浪花節 巨人と自民党 平成と「おことば」: 語る天皇 象徴としてのお務め 戦後70年 天皇陛下の「おことば」の歴史 「おことば」への自覚 天災と天皇 平成と「広告のことば」: 消費=わたし=快楽 『広告批評』の終わり 明るい抑圧 働き方 変わらないCMと変わらない「平成」 そして広告も「批評」も消えた? 平成と「インーネットのことば: ナナロク世代と平成 平成のことばから私社会学へ: 戦争のない時代 歴史の真空パック 解説や格差を求める社会 ことばの空回り2022/11/15