内容説明
一九四六年、戦争で両親と住まいを失った里見滋は、焦土と化した東京を放浪し、飢えと貧困に苦しむ。二〇二〇年の東京、コロナ禍で自粛生活を続ける洲崎駿は、父の勤務先が倒産し、楽しかった高校生活が破綻する。絶望の淵から這いあがろうともがくふたりを待っていたのは、驚くべき運命の巡りあわせだった。心にしみる感動と勇気がみなぎる傑作長編。
著者等紹介
福澤徹三[フクザワテツゾウ]
1962年、福岡県生まれ。ホラー、怪談実話、クライムノベル、警察小説など幅広いジャンルで執筆。2008年『すじぼり』で第10回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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オールド・ボリシェビク
5
福澤徹三も面白い作家なのに、なかなか、これといったものが出ず、メジャーになりきれないな。この作品は終戦直後を力強く生きる戦災孤児と、コロナ禍でくすぶる現代の高校生を交互に描きつつ、その時代に生きる意味を考えていく佳作なのである。少しく、通俗的・ご都合主義的なところがあるのは否めない。しかし、それを乗り越え、美しいラストに着地させる技量は認めるべきだ。北上次郎さんの解説も感動的だ。2023/03/27
minu tanu
3
暗い話そうでしばらく放置していましたが、過去と現在の対比が抜群に上手く読み始めるとあっと言う間に読了。2023/05/02
永夢👻
2
次々と起こる出来事に心が痛くなるが、読んでよかった。 素敵な結末がグッと来ました。 今だからそこ読みたい1冊。 2023/03/27
らいなすぷ
0
全く異なる時代を生きる少年2人が主人公の話です。過去も現代も、何が幸せで何が不幸かは単純ではなく、何を感じて何を考えていくのかが重要なのかなぁと思いました。主人公に感情移入すると、辛いことも少なからずある内容ですが、せっかく手に取ったのであれば、是非最後まで読んで欲しい1冊かと思います。2024/08/01
りんごさん
0
戦後、戦災孤児となってしまい過酷な生を強いられた滋とコロナ禍の現代に理不尽を感じながら過ごしている高校生の駿 二人の話が交互に織りなされタイトルからして最後に交差するのだろうとは思ってもこう来たか! 駿の今後に光が見えて安心した。 滋を応援しながら、駿に相槌を打ちながら読み進めた。 2024/04/09