出版社内容情報
奥田祥子[オクダ ショウコ]
著・文・その他
内容説明
女を縛り、男を悩ませる、産め、働け、輝けの三重殺。長年の取材から「女性活躍」時代のリアルを描く、徹底ルポ。
目次
第1章 管理職になりたがらない女たち(「産め」「働け」「活躍」の三重圧力;男の「しきたり」から外れる自由 ほか)
第2章 非正規でも前向きな女たち(“腰掛け”仕事のつもりが…;処遇よりも、やりがい ほか)
第3章 “敗北感”に苛まれる女たち(「勝ち組」専業主婦の今;息子を“お受験”という代理戦争に ほか)
第4章 男たちを襲うプレッシャー(女性登用に足をすくわれる;女性優遇は「逆差別」? ほか)
第5章 真に女性が輝く社会とは(女の人生は一様ではない;男女の「差異」を受け入れる ほか)
著者等紹介
奥田祥子[オクダショウコ]
京都市生まれ。ジャーナリスト、近畿大学教授(社会学)。元新聞記者。博士(政策・メディア)。ニューヨーク大学文理大学院修士課程修了。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程単位取得退学。男女の生きづらさ、医療・福祉、労働、家族などをテーマに、ルポルタージュや評論、学術論文を国内外で発表。20年近くにわたり、取材対象者一人ひとりに継続的なインタビューを行い、取材者総数は男女合わせて400人を超える。日本文藝家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
90
あなたは男、わたしは女。人は性別で二分するけれど、男にも色んな人、女にも色んな人がいる。無理矢理どちらかに当てはめようとするから無理が生じる人もいる…。スポーツ好き、お酒好き、手芸が好き。家事が意外と好き、ゲーム好き、読書好き、旅行好き、料理好き、仕事が好きな人もいる。誰にでも好みがあり、そこに性別は関係ありません。極端にバランスの崩れた男社会が現実には存在し、今は正しい重心を求めて徐々に動きだし、揺れている最中。揺れが収まるのはまだ先だけど、皆が助け合い、気づきあえば、今より柔軟な社会が広がるのかな…。2019/06/22
GAKU
59
国は「女性の活躍」を声高に唱え、「女性活躍推進法」制定で女性採用比率とか、女性管理職の比率とかって、何か見当違いなような気がする。女性だって自分自身はどう働いて行きたいか、人それぞれ違うはず。この著書に登場した色々なケースの働く女性達の生の声を、政治家や会社の経営者達は、真摯に耳を傾けて欲しい。勿論、私達男性も。女性が働きやすい社会にして行く為には、まだまだやるべき事が沢山あると思う。2019/01/05
HANA
57
女性の活躍が声高に叫ばれる昨今だが、その底にあるのは男女を問わず「~しなければならぬ」という固定観念であるというのを明らかにした一冊。女性は家を守り子を育てねばならぬ。から、女性は社会へ出て活躍しなければならぬ。へ変わっただけで社会における価値観の押し付けは変わっていないという事を教えられるなあ。国連のジェンダー指数とやらを見る度に感じていた違和感に言葉を与えられた感じ。本書の良い所はそんなお題目に唯々異を唱えるのではなく、一人一人のインタビューからそれを教えられる所か。個人の悩みに正しさは無いしなあ。2025/06/17
rico
42
国の言う「女性活躍」には、少なくなる労働人口を補い、経済成長を維持するためという目的が露骨に見えて、押し付けがましい。高度成長期の専業主婦礼賛や、戦前の産めよ増やせよと同じ。それでも追い風には違いない。伸びやかにチャレンジしている若い人たちの姿はまぶしく、変わってきたのかなと思っていたけど。個の尊重という視点が欠落し、資源も投入されず、建前が先行し、プレッシャーだけが強くなってる現実。これでは誰も幸せになれない。2019/02/10
かず
39
★★★★★audiobook。「女性活躍」に翻弄される女性と男性。「女性管理職を増やそう」と会社の都合で号令をかけたところで、もしも当人たちの人生設計上に「管理職昇進」が存在しないならば、その価値観の押し付けを判断基準として「女性の活躍ができていない」なんて議論は、筋違いも甚だしい。では「女性活躍社会」モデルケースは一体どんなものであろうか。本書を通して私自身も迷路に入り込む感覚があったし、一筋縄ではいかない問題だと痛感する。例えば、女性の「ライフプランの選択の幅が広がる」状態はどうだろうか。再読予定。2022/02/15