出版社内容情報
夫婦という親密な関係性に潜む感情面でのジェンダー非対称性とは。インタビューや計量調査を基に「私的領域」を切り拓く。
ジェンダー平等化の過渡期にある現代の夫婦関係を「人格的ケア関係」としてとらえ直し、相互の人格の安定のために日々行われる感情作業のジェンダー非対称性を描き出す。近代家族論には欠けていた妻と夫双方の感情作業をとらえ、独自の実証研究から「私的領域」を「公的」な問題系へ切り拓く可能性を追究する野心的一書。
【目次】
序章 夫婦の愛情をめぐる「名前のない問題」
1 ゆらぐ規範と新たな葛藤
2 夫婦の親密性と社会構造の関連をとらえるアプローチ
3 本書の構成
補論 夫婦関係研究の動向と課題
第Ⅰ部 マクロな社会構造からとらえる夫婦関係
第1章 夫婦関係における感情のケアをめぐるジェンダー非対称性という視座──近代家族論を手がかりとして
1 「不機嫌ハラスメント」の問題化──感情作業のジェンダー非対称性への異議申し立て
2 近代家族論への着眼
3 近代家族論における夫婦の情緒性をめぐる議論の検討
4 今日の夫婦の情緒的関係についての試論
5 近代家族論のさらなる応用に向けて
第2章 「親密性の変容」論からみる感情面のジェンダー非対称性──再帰性と対等性という二つの位相の狭間に着目して
1 夫婦・異性愛関係と親密性の変容
2 ギデンズの親密性理論の要点と批判点
3 感情面でのジェンダー非対称性に着目した親密性論
4 親密性論における再帰性と対等性の再定位
5 ジェンダー不平等の最後のフロンティアを超えて
第3章 「人格的ケア関係」としての夫婦における親密性と平等性──「フェミニズム正義論」を手がかりとして
1 夫婦関係におけるジェンダー平等
2 親密性と平等性の不安定な位置関係
3 成人間の人格的ケア関係としての夫婦関係
4 夫婦関係の正義とケアをめぐる理論的視座
5 「愛情」から「ケア」へ
第Ⅱ部 ミクロな相互行為からとらえる夫婦関係
第4章 現代日本の夫婦における感情作業の概観──ウェブ質問紙調査の分析から
1 日本での実証的な感情作業研究に向けて
2 感情作業に関する実証研究の知見
3 研究方法とデータ
4 どのような人が感情作業を多く行っているのか──社会経済的変数との関連から
5 何が夫婦間の感情作業に関連するのか
6 まとめ
第5章 若者の恋愛関係における感情作業のプロセスとジェンダー規範──ペア・データの構造的ナラティブ分析から
1 若者の恋愛と結婚
2 現代の若者における恋愛と結婚に関する先行研究
3 研究方法と分析視角
4 全体の傾向と共通性
5 日常的コミュニケーションについての構造的ナラティブ分析
6 「個としての人生」と「二人の関係・生活」の両立のバランスをめぐって
7 「互いを尊重して妥協点を探す」なかでの感情作業
第6章 「話し合えない」夫婦たちの悩みの構造──夫婦カウンセラーの語りの分析から
1 夫婦関係におけるコミュニケーション不和
2 夫婦関係の悩みの変容と感情をめぐる社会学的議論
3 研究方法
4 夫婦が「話し合えない」三つのパターン<
目次
夫婦の愛情をめぐる「名前のない問題」
第1部 マクロな社会構造からとらえる夫婦関係(夫婦関係における感情のケアをめぐるジェンダー非対称性という視座―近代家族論を手がかりとして;「親密性の変容」論からみる感情面のジェンダー非対称性―再帰性と対等性という二つの位相の狭間に着目して;「人格的ケア関係」としての夫婦における親密性と平等性―「フェミニズム正義論」を手がかりとして)
第2部 ミクロな相互行為からとらえる夫婦関係(現代日本の夫婦における感情作業の概観―ウェブ質問紙調査の分析から;若者の恋愛関係における感情作業のプロセスとジェンダー規範―ペア・データの構造的ナラティブ分析から;「話し合えない」夫婦たちの悩みの構造―夫婦カウンセラーの語りの分析から;夫婦の関係調整において「感情公共性」を生む支援の可能性―夫婦カウンセリングの実践に着目して)
夫婦の親密性の現在地と夫婦関係調整のゆくえ―〈歩み寄る親密性〉モデル
著者等紹介
岡田玖美子[オカダクミコ]
2024年 大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了、博士(人間科学)。現在、奈良女子大学研究院生活環境科学系専任講師。主著、論文に「「人格的ケア関係」としての夫婦における親密性と平等性―「フェミニズム正義論」を手がかりとして」『女性学』31:88‐105(2024)(第18回社会倫理研究奨励賞審査員賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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