出版社内容情報
そもそも<教育>とはどういう営みなのか。豊かな人間形成と厳しい選抜。矛盾したことを同時に唱える近代教育学の悲惨な栄光の解明。
自在に作り変えたり、精確に評価したりできない教育不可能な存在である子どもを、われわれはなぜ<教育>できるのか。安直な新しい教育理念の提案を戒め、真の教育や画期的な教育方法などありえないことを冷徹に記述する自己創出システム論の読解を通じて、教育哲学と教育社会学の架橋を試みる。
関連書:小松丈晃『リスク論のルーマン』、春日淳一『貨幣論のルーマン』(小社刊)
序章 ルーマンの教育システム論
第一部 教育学を疑うシステム理論
第一章 教育は社会化を制御できるのか?
第二章 教育システムのコードは何か?
第三章 人間学に頼る教育学はなぜ頼りにできないのか?
第二部 教育的コミュニケーションの根本問題
第四章 なぜ教育のテクノロジーはないのか?
第五章 教育システムの「構造的欠如」とは何か?
第六章 教育プログラムは人間を変えられるのか?
第三部 教育の自己創出、人間の自己創出
第七章 教育のメディアとは何か?
第八章 教育システムを統一するものは何か?
第九章 自己創出する人間を教育できるか?
終章 自己創出のなかの生成
索引
内容説明
「発達」に見えるものは、じつはたえざる「生成」である。教育システムをのりこえつづける子どもという存在を、われわれはいかにして“教育”するのか。口当たりのいい教育理念をうちたててきた近代教育学を、できるだけ精確に、かつ、冷静に記述することからはじめよう。「画期的な」教育方法の探究は、子どもを陳腐な競争に駆り立てることにしかつながらない。自己創出的システム論からみえてくる、もうひとつの教育学。
目次
ルーマンの教育システム論
第1部 教育学を疑うシステム理論(教育は社会化を制御できるのか?;教育システムのコードは何か?;人間学に頼る教育学はなぜ頼りにできないのか?)
第2部 教育的コミュニケーションの根本問題(なぜ教育のテクノロジーはないのか?;教育システムの「構造的欠如」とは何か?;教育プログラムは人間を変えられるのか?)
第3部 教育の自己創出、人間の自己創出(教育のメディアとは何か?;教育システムを統一するものは何か?;自己創出する人間を教育できるか?)
自己創出のなかの生成
著者等紹介
田中智志[タナカサトシ]
1958年山口県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。山梨学院大学大学院社会科学研究科教授
山名淳[ヤマナジュン]
1963年鳥取県生まれ。広島大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。東京学芸大学教育学部助教授。博士(教育学)
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