出版社内容情報
会話的推意の理論など、主に言語哲学の業績で知られるポール・グライス。その素顔と広範な射程を持つ哲学の全体像を初めて描き出す。
会話的推意の理論と非自然的意味の分析の哲学者として知られるグライスは、心の哲学、理性論、形而上学といった分野でも多くの業績を持つ。その哲学体系を貫くのは、理性というテーマである。グライスにとって、理性は推論の能力であるとともに、理由を与える能力でもあった。歴史的な背景とともに、その哲学体系を一望のもとに描く。
内容説明
会話的推意の理論や意図基盤意味論などによって知られ、言語哲学や語用論に大きな影響を与えたポール・グライス。心の哲学・理性論・形而上学を含む幅広い射程を持つその哲学体系が「理性」というテーマに貫かれていることを指摘。その素顔と哲学の全体像を初めて描き出す。
目次
第1章 グライスの生涯
第2章 日常言語に目を向ける
第3章 会話的推意の理論
第4章 会話的推意の理論とは何なのか
第5章 「言う」と「意味する」
第6章 心理と行為
第7章 理性と幸福
第8章 形而上学と超越論的論証
著者等紹介
三木那由他[ミキナユタ]
1985年神奈川県に生まれる。2013年京都大学大学院文学研究科博士課程指導認定退学。2015年博士(文学)。現在、大阪大学大学院文学研究科講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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buuupuuu
19
会話的推意の理論は、概念分析の手法を精緻化する目的から構想されたのだという。概念の適用条件には、真理条件とは異なるものも含まれている。オースティンが遂行体の発話条件として考えたものも、そういったものの例なのではないかと思う。オースティンは規約や慣習といった観点から考えたのだが、グライスは理性という観点から考えた。そこが彼の哲学の特徴になっている。また自分は、グライスが知覚の因果説を唱えた人だと聞いていたので、彼が心理概念を、因果的なものではなく、行為の理由に関わるものとして考えていたというのが意外だった。2024/01/17
ヒナコ
7
イギリスの言語哲学者、ポール・グライスの思想全体が、グライス研究者によって詳細にまとめられた研究書。完全に研究者向けに書かれているので、相当に歯ごたえがあった。→2022/05/09
Go Extreme
2
グライスの生涯: 父から受け継いだ異端性 哲学との出会い 論理実証主義の到来 第二次世界大戦とグライスの初期哲学 日常言語学派 オースティン、そしてストローソンとの交流 日常言語学派への不満とオックスフォード哲学の衰退 論理学への関心と会話的推意の理論 アメリカへ 残された日々 日常言語に目を向ける 会話的推意の理論: 果たす役割 どのようなものか 言われていることから区別する 規約的推意 グライスによる応用 会話的推意の理論とは何なのか 言うと意味する 心理と行為 理性と幸福 形而上学と超越論的論証2022/05/24
東京
0
読んだ。現時点の著者のなかで、もっとも大がかりなプロジェクトであろう(と思う)2024/11/26
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