出版社内容情報
正義を根源的価値としたロールズの系譜に対立する、個人の自律を重視するリベラリズムの流れ──バーリンとその後継者たち。消極的/積極的自由の区別の理由を問う。
バーリンの消極的自由/積極的自由の区別は、すでに「現代の古典」となっている。この区別は、しかし二者択一的なものではない。彼の思想史研究や独自の価値多元論と結びついているのである。ラズ、グレイ、ガリボー、マルガリート、シュクラーらの流れをたどりつつ、バーリンが探求した「最小限に品位ある社会論」の再構成をめざす。
[関連書] アイザィア・バーリン 『自由論』 (みすず書房)
序 章 なぜバーリンの自由論に注目するのか
第一部 価値多元論とリベラリズム
第一章 価値多元論と二つの自由概念
──バーリンの多元論的リベラリズム
第二章 通約不可能な諸価値からの自律的な選択
──ラズの卓越主義的リベラリズム
第三章 価値多元論と自由の実践
──グレイのポスト・リベラリズム
第四章 価値多元論とリベラリズムを結びつける試み
──両者を結びつける試みへのバーリンの確信と懐疑
第二部 品位ある社会の実現を目指して
第五章 品位ある社会と恐怖のリベラリズム
──バーリンとシュクラーの自由論に即して
第六章 品位ある社会とは何か
──マルガリートによる「品位ある社会」を物語る試み
第七章 品位ある社会の人権論
──イグナティエフの人権観の変化に即して
第三部 品位ある社会の自由論
第八章 価値多元論とリベラリズムの事実上の結びつき
──バーリンとグレイの論争をめぐって
終 章 品位ある社会の自由論の可能性
あとがき
参考文献一覧
索引
内容説明
正義を根源的価値にすえたロールズの系譜に対抗する、個人の自律を重視するリベラリズムの系譜。ラズ、グレイ、ガリポー、シュクラー、マルガリート、イグナティエフらの議論をたどりながら、バーリンによる消極的自由/積極的自由の区別の理由を探究する。「最小限に品位ある社会論」とはどのようなものなのか。
目次
なぜバーリンの自由論に注目するのか
第1部 価値多元論とリベラリズム(価値多元論と二つの自由概念―バーリンの多元論的リベラリズム;通約不可能な諸価値からの自律的な選択―ラズの卓越主義的リベラリズム;価値多元論と自由の実践―グレイのポスト・リベラリズム;価値多元論とリベラリズムを結びつける試み―両者を結びつける試みへのバーリンの確信と懐疑)
第2部 品位ある社会の実現を目指して(品位ある社会と恐怖のリベラリズム―バーリンとシュクラーの自由論に即して;品位ある社会とは何か―マルガリートによる「品位ある社会」を物語る試み;品位ある社会の人権論―イグナティエフの人権観の変化に即して)
第3部 品位ある社会の自由論(価値多元論とリベラリズムの事実上の結びつき―バーリンとグレイの論争をめぐって;品位ある社会の自由論の可能性)
著者等紹介
濱真一郎[ハマシンイチロウ]
1968年長崎県に生まれる。1999年同志社大学大学院法学研究科博士後期課程中退。現在、同志社大学法学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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