感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
125
副題に「意外な結末」ということで13編の短編が収められています。このような分野の小説は好きなのですがここにあるのはほとんどが文豪といわれる方の作品で私は今迄に目を通したものはシャーウッド・アンダーソンの「種子」だけでした。私の印象に残ったものは、シュテファン・ツヴァイクの「目に見えないコレクション」とジェイムス・ジョイスの「相似」という「ダブリン市民」の中の1篇でした。それにしてもこのシリーズは残念なことに絶版になっているのでどこかで再版してくれないでしょうか?2018/05/20
藤月はな(灯れ松明の火)
73
「ピッポ・スパーノ」は理想の人物を演じるも心はなく、才覚と女を転がす事でのし上がって来た男が陥った陥穽に嗤いが止まらない。こういう口先だけ、達者で覚悟がない人っているわね~(黒笑)「ロゴー厶老人とその娘テレサ」はあんな事があっても老人はテレサを縛り続けるだろうし、一生、変わらないという事が苦い。「A・V・レイダー」は臆病な人間の語った話が意外な余韻を残す。私には後味がどこか、奇妙な話に思えました。「最後の瞬間」は『脂肪の塊』や『駅馬車』を彷彿とさせる展開が見事だ。しかし、一番、犠牲を払った者が顧みられない2019/02/14
春ドーナツ
17
本書ではドイツ語文化圏の小説が大半を占めており(イメージ)、その殆どがワイマール共和国時代のもので、年表の知識しか持ち合わせていない私は興味深く読む。かねがね気になっていたトマス・マンの兄者ハインリヒ、ドライサー、ツヴァイク、E・M・フォースターの文章に触れることができて「当たり」の本だったと思う。ビアボーム、ヴァッサーマン、ホーフマンスタール、シャーウッド・アンダスン、レーオンハルト・フランクが残りの未読作家。巻を重ねるごとに初見が増えていく。そういうの良い感じ。ヴァッサーマンの「お守り」が心に残った。2018/09/19