感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Fumitaka
2
アグラーヤとナスターシヤの対面での応酬は確かに力強かった。公爵は悪人ではない、しかし善良な聖人ではなく、題名が指し示す人物像に相応しい。後世の極東の隣国で、恋愛ものに屡々現れる優柔不断な類型的人物像のある種の極北かもしれない。『賭博者』の方は聞いていた通りアントニーダ・ヴァシーリエヴナという強烈なキャラが登場してから一気に面白くなった。彼女からさえも熱を奪い取ってしまう賭博場に、作者も囚われたことがあるのである。しかしポリーナは本当に主人公を愛していたのだろうか? そこに関しては正直確信が持てなかった。2020/03/12