出版社内容情報
消えゆく昆虫40種を、
300倍に拡大し、1万カット以上を合成して制作された、
超高精細写真図鑑
昆虫は、私たちにとって最も身近な生き物であると同時に、最も謎に包まれた生き物でもある。
その種類や個体数の多さから絶滅とは無縁のように思えるが、地球上の生物が6回目の大量絶滅を迎えるなか、昆虫たちの命脈も絶たれつつある。
本書は、アメリカ自然史博物館が保有する2000万点の節足動物の標本から、絶滅またはその危機にある40種の昆虫を選び、写真家レヴォン・ビスが撮影した共同企画である。各標本を実物大の300倍に拡大し、肉眼では見えない色や質感、毛、鱗粉といった細部を鮮明に再現した写真を制作した。
本書のすべての昆虫に付された解説は、日本が誇る人気昆虫学者の丸山宗利が翻訳・日本語版監修を務めた。圧倒的なまでに美しく、迫力に満ちた昆虫たちの写真とともに、生態、環境の変化や保全活動の現状、レッドリストなど、問題点や取り組みがわかりやすくまとめられている。
「ただの標本写真ではない。
昆虫たちの悲しみを代弁するような、気迫のこもった写真ばかりだ」
――丸山宗利
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
151
神々しい程美しい精緻な絶滅危惧昆虫図鑑、絶滅危惧昆虫なので当然観たことはありませんが、こうしている最中、既に絶滅しているかも知れません。ほとんどが人類の乱開発のせいだと思われます🐞 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/product/23/032400020/2023/04/27
たまきら
42
生きている昆虫にこだわった図鑑に感銘を受けた後、この死んでしまったものをなめるように観察する、執拗な図鑑にもまた違う感動を覚えた。カサカサに乾燥したシワシワのチョウたち。落ちくぼんだ複眼、光沢のないクチクラ。私が愛する昆虫たちは、現在多くの人が気づかないうちに殺され、静かに絶滅に近づいている。農薬で昆虫を殺しているので、鳥がひなに与えるタンパク質は不足し続けている。先週水曜日にソメイヨシノの原木があったと言われる染井霊園で、ニホンミツバチを保護してきた。焼け石に水かもしれないけれど、活動し続けたい。2023/05/28
鯖
25
深度合成写真を用いて、絶滅危惧昆虫に迫る図鑑。もっさもさのモッフモフ。かわええ。十七年ゼミも載ってて、え、あれが絶滅すんのかと思ったけど、十七年に一度しか数が減ってるかどうかも分からないとのことで、そりゃそうかあ…ってなった。色彩がひたすら美しいカミキリも何種か載っていて、外来種の首がオレンジ色のやばいクビアカツヤカミキリを思い出し、同じカミキリでも難しいもんだよなあってなった。先週、ウチの庭にも出て、ホントに広がってるんだなってビビったところだったので。ガムテで圧殺してしまい、人間がすまない。2023/07/08
FOTD
24
身近な存在でありながら、昆虫たちは小さいから目立たない。だから昆虫たちが危機に瀕しているのに私たちは気づかないのかもしれない。この写真家は、彼らの小さな世界を特殊なカメラで捉えて、私たちに見せてくれる。300倍に拡大された絶滅危惧種が40種、解説とともに掲載されている。2023/11/29
tom
18
ここに登場する昆虫たちの美しいこと。ほとんど超絶。400倍に拡大したアップの画像、400倍に拡大して、すみずみまではっきりと見せて(すごい写真の技術)、この虫さん、全身を羽毛に覆われているのだと思ったり、この虫さんの甲羅の質感のなんとセクシーなことと思ったり。虫さんたちは、ほとんどは博物館の標本にされたもの。標本にされて(つまりは死体になって)、美しさを残し続ける。ああ、ああとちょっと微妙な感じもあるけれど、でも美しい。小川洋子の「からだの美」を読んだけれど、昆虫のほうが、はるかに美しい(笑)。2023/09/16